ニットの生産に欠かせない最強の裏方”ワインダー”についての解説
- ニット糸の取り扱い方法
- 投稿日:
- 2015-09-24
- (更新日:2020-02-06)
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こんにちは、佐野です!
早いものでもう9月も終わり間近ですね、来月はいよいよ弊社の展示会も開催されます!
今回は丸安展の体験コーナーで展示・体験して頂く予定のワインダーについて、お話しさせて頂きます!
●ワインダー
ニット製品の生産において、実は欠かすことができないのがこのワインダー。
聞きなれた言葉かと思いますが、実際にご覧になられたことはございますか?
その名の通り、一言で言えば、糸をコーンに巻き上げる機械のことを指します。
今回の展示会ではこのワインダーを設置しますので、実際に見ていただくことができます!
少しご紹介しますね。
●コーンの種類
ワインダーで巻き上げる糸の芯となるコーン、私たちは紙管と呼んでいます。
この紙管にも種類はいくつか存在し、素材や染色方法など、糸の特徴や生産工程で使い分けられています。
中でもよく出てくるのがこの二つ。
左が傾斜の強い9度コーン、右が傾斜の緩い3度コーンと呼ばれる紙管です。
糸が巻いてある状態はこんな感じです。
傾斜の違いがお分かり頂けますでしょうか?
この他にも主にストレッチ糸に使用されるシュワイダー(パイナップルコーン)なども存在します。
それぞれの用途の解説も踏まえながらワインダーの活躍の場面をご紹介いたします!
●意外と様々な用途
糸をコーンに巻き上げる、と言ってしまうとあまりに簡単になってしまいますが、ニット製品ができるまでに、このワインダーは至る所で活躍しています。
・染色工場様でのワインダー
<チーズ染色の場合>
染色釜に入れるため、まずは生地糸を専用のコーン(PPコーンと呼ばれる染料の噴射口が空いたコーン)に巻き上げます。
“前巻き”と呼ばれるそうです。
前巻の様子はこんな感じです。
機械の下に置いてあるのが生地糸です。
ガイド(糸道)を通り、上に横たわっているPPコーンに巻き上げます。
巻かれていくと、こんな感じです!
染色が終わった後には、同じ要領でPPコーンから紙管へと再度巻き直します。
これは“後巻き”と呼ばれ、この状態でニッター様へと出荷されます。
チーズ染色での後巻は、上でご紹介した左側の9度コーンとされるケースが主流です。
<カセ染めの場合>
カセ染めの場合は、前巻きの段階でチーズ状態の生地糸から“かせ上げ”を行います。
カセというのはこんな状態です。
素材にもよりますが、日本国内では1カセ250gとするケースが多く、後巻の工程で4カセを1コーンにし、1kgコーンに仕上げることが多いです。
これは通称”トンボ”と呼ばれ、これに糸を巻き上げてカセの状態にします。
カセでの染色が終わった後には、再度このトンボに糸を巻き、コーンへと巻き上げられます。
カセ染めでの後巻は、チーズとは逆で3度コーンとなるケースが多いです。
3度コーンとなる理由の一つとして、カセ染色は比較的太い糸や、モヘアタムの様な風合いが重視される糸に対して施されるケースが多いので、
糸をなるべくリラックスさせ、風合いを極力損なわないように、傾斜の緩い3度コーンとなるそうです。
・ニッター様でのワインダー
ニット製品の生産工場であるニッター様でも、このワインダーは使われていいます。
一番大きな目的は”ろう引き”なんだそうです。
納品された糸を再度巻き上げながら、ガイドにロウを設置し、糸自体の滑りを良くさせ、編立性を良くするのが目的です。
もう一つは、3度コーンで納品された糸(即ちカセで染色された糸)を9度コーンに巻き直します。
風合いを重視し、糸の負荷を少なくしている3度コーンですが、
編立が進んで糸が少なくなってくると緩い傾斜が故、編み切る前にコーンから糸が外れ、緩み、絡まりや引っ掛かりの原因となってしまうそうです。
これを避けるため、編立を始める直前に、9度コーンへと巻き直すニッター様も多いようです。
他にもサンプル作成時に2本取りや3本取りなど、引き揃えて編み立てを行う場合、ワインダーを使用して糸を割ったり、
ローゲージなど編み時間の早い場合は、2つのコーンを一つにし、一巻きが2kgのコーンにするケースもあるそうです。
反対にニッター様でワインダーを使用しないケースは、ストレッチ糸などの糸のテンション管理(糸自体の伸び縮みの具合)が非常に難しい素材で編み立てる場合です。
編み上がった後にテンションバランスが原因で、ストレッチムラ出てしまう可能性が格段に上がってしまうので、私たち糸メーカーからニッター様へ極力巻き直しを行わないよう、アナウンスさせて頂いております。
以上、こんなに長い説明になってしまうほど、ワインダーはニット製品の生産に欠かすことのできない機械であり、このワインディングにもとても高度な技術が必要とされています。
これもプロの技ですね!
丸安展ではワインダー体験ができるコーナーを設けますので、是非お立ち寄りください!
本ブログ作成に当たり、多大なるご協力を頂きました新潟県五泉市のニッター様、染工場様、本当にありがとうございました!!
それでは、展示会でワインダー体験をして頂ける事を楽しみにしております!