ニットの生産に欠かせない最強の裏方”ワインダー”についての解説

  • ニット糸の取り扱い方法

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こんにちは、佐野です!

 

早いものでもう9月も終わり間近ですね、来月はいよいよ弊社の展示会も開催されます!

今回は丸安展の体験コーナーで展示・体験して頂く予定のワインダーについて、お話しさせて頂きます!

 

●ワインダー

ニット製品の生産において、実は欠かすことができないのがこのワインダー。

聞きなれた言葉かと思いますが、実際にご覧になられたことはございますか?

その名の通り、一言で言えば、糸をコーンに巻き上げる機械のことを指します。

今回の展示会ではこのワインダーを設置しますので、実際に見ていただくことができます!

少しご紹介しますね。

 

●コーンの種類

ワインダーで巻き上げる糸の芯となるコーン、私たちは紙管と呼んでいます。

この紙管にも種類はいくつか存在し、素材や染色方法など、糸の特徴や生産工程で使い分けられています。

中でもよく出てくるのがこの二つ。

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左が傾斜の強い9度コーン、右が傾斜の緩い3度コーンと呼ばれる紙管です。

糸が巻いてある状態はこんな感じです。

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傾斜の違いがお分かり頂けますでしょうか?

この他にも主にストレッチ糸に使用されるシュワイダー(パイナップルコーン)なども存在します。

それぞれの用途の解説も踏まえながらワインダーの活躍の場面をご紹介いたします!

 

●意外と様々な用途

糸をコーンに巻き上げる、と言ってしまうとあまりに簡単になってしまいますが、ニット製品ができるまでに、このワインダーは至る所で活躍しています。

 

・染色工場様でのワインダー

<チーズ染色の場合>

染色釜に入れるため、まずは生地糸を専用のコーン(PPコーンと呼ばれる染料の噴射口が空いたコーン)に巻き上げます。

“前巻き”と呼ばれるそうです。

前巻の様子はこんな感じです。

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機械の下に置いてあるのが生地糸です。

ガイド(糸道)を通り、上に横たわっているPPコーンに巻き上げます。

 

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巻かれていくと、こんな感じです!

 

 

染色が終わった後には、同じ要領でPPコーンから紙管へと再度巻き直します。

これは“後巻き”と呼ばれ、この状態でニッター様へと出荷されます。

チーズ染色での後巻は、上でご紹介した左側の9度コーンとされるケースが主流です。

 

<カセ染めの場合>

カセ染めの場合は、前巻きの段階でチーズ状態の生地糸から“かせ上げ”を行います。

カセというのはこんな状態です。

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素材にもよりますが、日本国内では1カセ250gとするケースが多く、後巻の工程で4カセを1コーンにし、1kgコーンに仕上げることが多いです。

 

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これは通称”トンボ”と呼ばれ、これに糸を巻き上げてカセの状態にします。

 

 

カセでの染色が終わった後には、再度このトンボに糸を巻き、コーンへと巻き上げられます。

カセ染めでの後巻は、チーズとは逆で3度コーンとなるケースが多いです。

3度コーンとなる理由の一つとして、カセ染色は比較的太い糸や、モヘアタムの様な風合いが重視される糸に対して施されるケースが多いので、
糸をなるべくリラックスさせ、風合いを極力損なわないように、傾斜の緩い3度コーンとなるそうです。

 

 

・ニッター様でのワインダー

ニット製品の生産工場であるニッター様でも、このワインダーは使われていいます。

一番大きな目的は”ろう引き”なんだそうです。

納品された糸を再度巻き上げながら、ガイドにロウを設置し、糸自体の滑りを良くさせ、編立性を良くするのが目的です。

 

もう一つは、3度コーンで納品された糸(即ちカセで染色された糸)を9度コーンに巻き直します。

風合いを重視し、糸の負荷を少なくしている3度コーンですが、
編立が進んで糸が少なくなってくると緩い傾斜が故、編み切る前にコーンから糸が外れ、緩み、絡まりや引っ掛かりの原因となってしまうそうです。

これを避けるため、編立を始める直前に、9度コーンへと巻き直すニッター様も多いようです。

 

他にもサンプル作成時に2本取りや3本取りなど、引き揃えて編み立てを行う場合、ワインダーを使用して糸を割ったり、
ローゲージなど編み時間の早い場合は、2つのコーンを一つにし、一巻きが2kgのコーンにするケースもあるそうです。

 

反対にニッター様でワインダーを使用しないケースは、ストレッチ糸などの糸のテンション管理(糸自体の伸び縮みの具合)が非常に難しい素材で編み立てる場合です。

編み上がった後にテンションバランスが原因で、ストレッチムラ出てしまう可能性が格段に上がってしまうので、私たち糸メーカーからニッター様へ極力巻き直しを行わないよう、アナウンスさせて頂いております。

 

 

以上、こんなに長い説明になってしまうほど、ワインダーはニット製品の生産に欠かすことのできない機械であり、このワインディングにもとても高度な技術が必要とされています。

これもプロの技ですね!

 

丸安展ではワインダー体験ができるコーナーを設けますので、是非お立ち寄りください!

 

本ブログ作成に当たり、多大なるご協力を頂きました新潟県五泉市のニッター様、染工場様、本当にありがとうございました!!

 

 

それでは、展示会でワインダー体験をして頂ける事を楽しみにしております!