ニット特有の縫製方法リンキング機の種類をご紹介します!

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おはようございます。丸安毛糸の召田(メスダ)です。

5年ぶりくらいの大型連休だったみたいですが、皆様はシルバーウィークをいかがお過ごしでしたか?

私は実家に里帰りせず、久しぶりに東京で休暇を過ごしました。

行楽日和に恵まれてとてもリフレッシュできました!

さて、本日のブログでは、ニットならではの特殊な縫製法、「リンキング 」についてご紹介します。

 

最後までよろしくお願いします。

 

まず、はじめに

布帛はそれぞれ裁断したパーツ(前身頃、後見頃、袖など)を本縫いミシンやロックミシンで縫い合わせて1枚の製品が出来上がりますが、ニットは編み上げたパーツを特殊な機械で「リンキング」することによって縫製されます。

 

リンキングとは?

ミシン縫製とは異なり、編み地のループとループの目を針に刺して、2つのパーツをチェーンステッチで縫いとめる縫製法です。

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表はミシン縫いのように見えますが、裏にはチェーンステッチができます。

布帛のように縫う距離をcmやmmで行うのではなく、リンキングには編み地と同様にゲージがあり、編み地のループの大きさによってリンキングのゲージが決められます。

リンキングのゲージを決める目安は、編み地のゲージよりも2ゲージ程細かくするのが目安とされていますが、編み地の組織(天竺、ゴム地など)によっても変わってきます。

また、ループを目刺して縫製するので縫いズレが起こりにくいのが特徴です。

リンキング機には主にダイヤル式リンキングと、フラット式リンキングの2種類があります。

それぞれの特徴は以下の通りです。

 

ダイヤルリンキング

 

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ダイヤル式リンキング機。

コンセントに繋いで足で踏んで縫製するタイプ。

放射状に針があるため、どんな長さでもリンキング可能です。

 

八角(やすみ)

八角

工業用フラットリンキング機。

手動式で、主に直線用に用いられますが、時には曲線にも使用されます。

ヤスミさんという方が開発したからこの名が付いたそうです。

 

リンキング糸

リンキングに用いる糸は、基本的には共糸を使用します。

生地になじみ目立ちません。

糸が弱いときは、同じ太さの糸を使うか、細い同素材の糸や、スパン糸などを引きそろえて縫製されることもあります。

 

なぜ、ニットはリンキングなのか

布帛の生地に比べニットは肉厚なので、布帛のような縫製、縫代の始末は向いていません。

リンキングは編目のループとループを縫い止めるので、縫代が限りなく薄くすっきりと仕上がります。

また編目を追って縫製するので柄合わせが出来ます。

ジャージーなどで出来たカットソーは布帛の場合と同じ縫製をするので、襟ぐりの小ささに限界があり、頭を通して着脱するうちに伸びてしまう事が多々あります。

しかしリンキングされたセーターなどは、首周りが多少狭くても、頭をすっぽり入れることが出来るのにもかかわらず、襟ぐりも伸びません。

これはリンキングに伸縮性があるからです。

このため、型崩れしやすいニットでも、着脱後や洗濯後も型崩れしにくいという点がニットに向いた縫製法と言えるのです。

 

まとめ

「リンキング」とはまさにニット特有の縫製法。

①ループとループを繋ぎ合わせるため、縫い代がなくスッキリと仕上がる

②ニット独特の伸縮性が保たれる

③編目を数えてリンキングできるため、柄合わせが可能

近年、リンキングを出来る職人さんが減っています。

特にハイゲージのニットとなるとループの1目1目を見るには、細かすぎてご年配の職人さんには難しくなっているのが現状です。

このブログを通してリンキングができる職人さんが増えればいいなと思います。

ではまた〜