PITTI FILATI77からの2016-17秋冬トレンド分析まとめ~トレンドテーマ編~
- トレンド
- 投稿日:
- 2015-08-26
- (更新日:2020-06-27)
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PITTI FILATI78からの2017春夏トレンド分析まとめ~トレンドテーマ編~
PITTI FILATI77からの2016-17秋冬トレンド分析まとめ~トレンドカラー編~
最先端ファッションの国イタリア。世界遺産の街”フィレンツェ”で行われるPITTI FILATIという糸の展示会にはテーマがあります。
展示会全体にテーマを設けてトレンドを打ち出しています。
私は、ファッショントレンドをつくる上でテーマというのは必要だと考えています。
テーマっていうけど、実際はどうなの?どんな糸がトレンドなの?文章で言われてもねぇ・・・。
とせっかちな方もいらっしゃいますが、なぜそのトレンドになったのかテーマを知ることは物語のプロローグのような気がします。
ファッションの良さは言葉で伝えるというより、見た目だったり、風合い(感触)だったり、おしゃれを楽しむ気持ちだったり感覚を重視します。
ですから、余計になぜその感覚を打ち出したのか?を言葉で文章を通じて伝える・感じとる必要があるのではと思っています。
言葉や文章でファッションを楽しむのも面白いのではと思います。
ということで、このブログではトレンドテーマについてご紹介します。
PITTI FILATI77のトレンドテーマ
今回のPITTI FILATIのテーマは、「MAKE IT!」です。
MAKE ITとそのまま訳すと、やり遂げる・成功するなどさまざまな意味でつかわれています。
とっても前向きな言葉です。
今回のMAKE ITは、”手づくり”を意味していると思います。
”手づくり”
手づくりと聞いて、どんなことを想像しますか?
優しい色合いだったり、やさしい風合いだったり、懐かしい感じだったり・・・。
手の込んだ感じだったり、伝統的な職人技だったり。美しい手仕事の技術だったり。 物を大切にする気持ちだったり・・・。
そんな感じがトレンドテーマして謳われているような気がしました。
上の画像は、手話で表現=手仕事・手作りの”手”をアピールしています。
トレンドテーマ 和訳
「MAKE IT!」MAKE IT!というテーマを解説します。英文で書かれたテーマの文章を弊社のバイリンガル松嶋に訳してもらいまとめました。
—–以下まとめ—–
私たちのものに対する思いはどうだったのだろうか?
かつては、ものを修理して使い、何も捨てませんでした。
使い続けたことで歴史を作り上げて価値を増していきました。
ものを作りあがる技術は、長年 次の世代へと受け継がれてきました。
現在まで残っている特別な職人芸は、人間味と付加価値を持っています。
歴史が作り上げてきた価値でもあります。
そんな価値は今はもう当たり前の技術ではなく、失われたり、忘れられたり、無くなりかけている手作業でした。
たとえば、靴職人、傘職人、書道家などなど。
手作りの技術は、生活に必須ではなくなったのに関わらず、 今でも素晴らしい価値として私たちを魅了してやみません。
使い捨てのもの、保存のきくもの、継承可能なものの違いが、贅沢かそうでないか、 価値があるかそうでないか、ものに結び付いた技術によって保障されている違いを生み出しています。
なんだか、壮大なイメージテーマになっていますが・・・。
丸安毛糸では、”Love Knit”と題して、今まで以上に、愛着を持って、ニットに接していきたいと思い、まずはニットを作る楽しさを伝えています。
トレンドイメージの中に 大切にする、愛着を持つというキーワードから→”Love Knit”につながっていく共通点を感じました。
ものを作り出すのって素晴らしいのだと改めて感じることができるトレンドになるといいなぁと思います。
また、
懐かしい感じが優先されないようにして欲しくないとも英文でのテーマの文章には書かれていました。
懐かしい=古いイメージではなく、古い=歴史からなる伝統や匠の技術ということです。
そして、それらは、新しいアイディアと組み合わせることで、アイディアも修理や修正されより良いものへと変化していく必要性を感じました。
トレンド キーワード
トレンドテーマをもとにして、より具体的なモノやコトをトレンドキーワードとして提案しています。
今回のキーワードは、全部で10個ありました。
●REPAIR・・・修理 / MENDING・・・縫う・修繕
布のほころびを直す。穴の開いた服をなおしたり、当て布など、補修した服のイメージ。
手編み風のステッチやパッチワークのデザインへとつながっています。
●RUG・・・ラグ
絨毯のぼこぼこした質感や、模様・色合い。
絨毯を修理するとき現れるのフリンジ感などです。
●CRACKS・・・裂ける、割れる
金継ぎと呼ばれる割れたり、かけたり、ヒビの入ってしまった陶磁器をうるしで接着し、接着部分を金で装飾して仕上げる日本古来の修復技術の表情を取り入れています。
●CHARBON・・・炭
木炭が作られえる過程や木炭の表面のボコボコ感や模様・色がデザインソースとなっています。
●MECANIC・・・整備工
整備士の汚れた色合いと機械のクリアな色合いのコントラストです。
●MEAT・・・肉
筋肉や肉の質感や色合いのイメージ。
●BINDING・・・しぼる、閉じる(製本する)
本と閉じたときの紙のシワ。背表紙を装飾する刺繍を取り入れたデザインがイメージとなっています。
●MATTRESS・・・ふとん
布団のボリューム感。マットレスの模様がデザインソースとなっています。
●BARBER・・・床屋・理容師
紳士の象徴でもある、ひげの美しさをイメージし、毛皮やファーのデザインへとつながります。
●TICTAC・・・時計
時計の構造の美しさをデザインソースにしています。
具体的なキーワードにすると、どんなディティールや色を表現したいのかが良くわかると思います。
このキーワードをもとに各紡績で糸形状や色合い・編地へとアイディアを膨らませています。
まとめ
ものを修理して大切に使い続ける気持ちや技法。 職人の技術は尊いものとなっています。
懐かしさではなく、その技術や気持ちを大切にし、 洗練されていくべきものであることを再認識できるテーマのように感じました。
PIITI FILATI77ではこのテーマを受けた2016-17AWニットファッションは温かみを感じられる優しい色合いや、原料本来の風合い感じられる紡績技術などを提案しています。