ニット原料を知ると製品作りが楽しくなる(シルク編Ⅱ)

  • ニット糸の取り扱い方法

家蚕

家蚕の繭(家の中で飼われているので白くて柔らかな繭になります。)

野蚕

野蚕の繭(野山で採取をするので、色が黄色やベージュの繭になり、風雨にさらされ周りが硬くなってしまします。)

皆様は昨日の海の日はどのように過ごされましたでしょうか。海の日なので海に行かれた方も多いことと思いますが、私のように年を取ると海へ行く機会も少なくなってしまいます。

来年からは山の日が8月11日に出来、16個目の祭日となります。山の日は日本山岳会が中心となって、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」を趣旨としてできました。

8月にも祭日が出来ると祭日の無い月は、6月だけになります。6月と言われて連想するのは梅雨、雨の日(天の恵みに感謝をする日)、いかがでしょうか。祭日も多くなりました。

こんにちは丸安毛糸の田崎です。私はいつもの休みと変わらず、近所で釣りをしていました。

 

今回は前回に引き続きシルクの特徴に付いて書いていきますので、お付き合いをお願いいたします。

シルクの特徴

1、他の素材を圧倒する繊維の長さ

蚕は2昼夜を掛けて細いシルク繊維を吐き出し繭玉を作ります。作られる繭玉は1本の長い繊維で出来ています。

家蚕の繭で1200~1500mと長く、野蚕の繭でも500~600mもあり、他の原料に比べ途轍もなく長い原料なのです。

家蚕の繊維長が特に長いのは、家の中で飼われ、桑の葉だけを食べさせているので、太さに均一性があり、長い繊維になります。

野蚕は野山で育つので、食べる葉も桑の葉だけではなく、クヌギ、コナラ、クリの葉なども食べます。やや均一性にかけ、繭玉の周りも硬くなり、採れる量がすくなくなります。

羊毛、綿、麻は繊維が短いので紡いで糸にしますが、シルクは長い繊維を何本も重ねて糸にするので、毛羽がなく滑らかで風合いの良いのがシルクの特徴になります。

 

2、しなやかな繊維の太さ

家蚕の繭で約2.8デニール、野蚕の繭で6~7デニールでですが、蚕が吐き出すシルク繊維は2重構造になっていて実際は2本吐き出し、1本の繊維は半分の太さになります。

家蚕の繊維が細いのは、1で述べたように家のなかで飼われているからであり、野蚕の繊維が太いのは、自然環境の中で育つので、強い繊維が必要だからです。

 

3、蚕が作り出す奇跡の特徴

蚕がシルク繊維を吐き出すとき、体をくねらせてS字型に吐き出すので、繊維にうねりがあり、太さに違いのある繊維が出来ます。これらが特徴になり、弾力性、コシ、ハリのある繊維が出来るので、着物が型崩れしにくいことやネクタイの締め具合が良いのもシルク繊維の特徴になります。

 

4、隠れていた繊維

蚕が吐き出した繊維の断面は、2本のフェブロイン(シルク)と言う柔らかいたんぱく質で出来た繊維があり、その周りをセリシンと言う硬いたんぱく質が覆っています。

このセリシンをアルカリ液で溶かして取り除き(製錬という)フェブロイン(シルク)を取り出します。

製錬を(練り上げ)をしないと、きれいなシルクにはならず、染色をすることもできないのです。

 

まとめ

綺麗な光沢、しなやかな風合い、肌触りの良さ、日本では一年中シルクの着物を着て過ごしていたように保温性、通気性も兼ね備えた最高な素材です。

ただし、すれて毛羽が立つ、水シミになりやすいなどの欠点もありますので、シルクの特徴、欠点を理解していただき使用をして頂ければ幸いです。

次回はシルク糸、シルクの性能、欠点などに付いて書いていきます。

 

今回も最後までお付き合いを頂きありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。

夏本番を迎えますので、暑さに負けずがんばりましょう。