糸の扱い方 注意するべき点 その①ストレッチ糸編 前編
- ニット糸の取り扱い方法
- 投稿日:
- 2015-05-11
- (更新日:2020-06-27)
みなさんおはこんばんにちは松井です。
先日、実家の近くの谷中で亀の子たわし専門店に入り
体を洗う用のたわしというものに初めて出会いました。
毛の硬さは、皆さんの想像するたわしより遥かに柔らかいもので
試しに購入したのですが思いのほか良い使い心地に満足しています.
興味のある方は是非 試してください。
100均なんかのそれとはまるで物が違いますよ~
さて今日 触れていくのはこれから何回かに分けて
昔はニットに詳しい方ならみんな知っていた
“糸の取り扱い方”について記述していきたいと
思います。
なにも、糸の取り扱い方を知っていなければならないのは
編立てをする方ばかりではないんですよ~
その糸の使用を指示するデザイナーさんはもちろん 商品の品質を管理する
生産管理の方もこれを知っていないと
商品にトラブルがあった際、なんでこうなったのか原因が掴めず
見当違いの原因追究ばかりを行うはめになります。
ですから、これをきっかけに今まで知らなかったというかたも
是非理解を深めて頂ければと思います
ストレッチ糸の扱い方
今回は第1弾ということで”ストレッチ糸”について
触れていきます
ストレッチ糸というのは読んで字のごとく
糸自体にストレッチ性が有り 伸び縮みに富み
この伸縮性が糸の特性で、服地をデザインする際に
この糸を選ぶ一番の要素となります
と同時に
編立てる際、一番注意を払わなくてはならないのも
この伸縮性の保持と安定が課題となります。
手編みをやったことがある方なら容易に想像出来ると
思いますが 棒針で手編みをする際
初心者の内は 単純な天竺目の一段一段を目の大きさや
編みのテンションを変えずに均一にするのも意外と難しいものです。
ここからは想像して下さい。
これが糸が更に伸び縮みしたらどうでしょう?
厄介極まる感じですよね。
たぶん私も綺麗に編めません。
これと同じことが例え機械で有っても同じことなのです
糸をコーンの状態から糸をべら針で編むキャリアに
一定のテンションとスピードで供給し続けることは
プロでも難しく、ちょっとした弾みで糸が供給時にどこかに引っかかって
編地がつれてしまうなんてこともままあります。
ここからは本題です。
ストレッチ糸を編む際実際現場ではこんな処置 注意が払われます。
1.コーンの状態が違います
ストレッチの糸は可能な限りストレスなく
スムーズかつ一定のテンションで糸を取っていかなければなりませんので
巻かれるコーンの種類と 巻かれた糸の形状
厳密にはコーンを正面から見た際の側面の傾斜角度が変わります
糸を取りあげ易くするためです。
*比較の写真は次回ブログのまとめの際 載せていきますね。
2.コーンに巻いている糸の巻きのテンションが違います
伸縮性を出す糸もそのパワー以上に
大きな負荷を より長い時間与え続けた場合
その伸縮性は失われる あるいは著しく低下します。
ですからストレッチ糸はリラックスした状態で糸をコーンの状態に巻き取りをします
実際にコーンに触れて糸を揉んでみると
通常の巻きが行われている糸に比べ とても柔らかいです。
また、いかに柔らかく巻き取られるいるとはいえ、
巻かれている状態は 糸に掛かるそのストレスは決して0ではありません。
巻いて保管している状態が長ければ長いほど経年劣化が起こり
2つのコーン 共に同じ原糸LOTで どちらも不備が見られないのに
先で保管していたLOTと新たに染色をしたLOTとまったく編地のテンションが異なり
乱寸著しいという場合は 巻いて保管していた糸の伸縮性が長時間の負荷により
その伸度を大きく低下させている場合が 原因の多くに考えられます。
*注意点
上記の1と2の作業は専門の工場で専門のコーンUPの巻きの設備
を用いて作業が行われます
ですから
編立て工場に糸が納品された後にロウ引きなどやジャンボコーンを作ることを
目的とした安易な巻き返しは特に注意が必要となります。
*加えて言うと ジャンボコーンの場合 コーンを上から見た状態で
コーンの内側→内径 と外側→外径 は著しく径が異なるため
内と外で編んだものは糸の供給時のテンションが異なり
乱寸となる場合がほとんどですので こちらもあしからず
長くなりましたので
今日はこのへんで
ストレッチに関してはまた次回 続きを記述していきまとめに入っていきます。
では。