ニットの原料を知るともっと製品作りが楽しくなる(カシミヤ編)
- ニット糸の取り扱い方法
- 投稿日:
- 2015-03-18
- (更新日:2020-06-27)
少しずつ暖かくなり、気の早い桜もぽつぽつと咲き始め、初春を感じられるようになってきました。
ただ、それと一緒にスギ花粉も多くなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは丸安毛糸の田崎です。今回もお付き合いをお願いいたします。
2/16セーブリッチ(カシミヤ80%毛(セーブル)20%
今回は獣毛の最高級原料、カシミヤについて特徴、デメリット、生産、手入れ方法について書いていきます。
先に、獣毛に付いて説明をいたします。
動物の毛は、ウールとヘアに大別され、羊の毛を羊毛(ウール)、それ以外の動物の毛は獣毛(ヘア)に分けられます。
(獣毛にはウールマークが付けられません。ヘアは毛で表示します。)
カシミヤは、カシミヤ山羊から取れる高品質獣毛素材です。
カシミヤの毛の色には、ホワイト、グレー、ブラウンがありホワイトカシミヤが一番良く、淡色にも染められます。
カシミヤの特徴
軽さと保温性、保湿性に優れ、柔らかくて肌触りがよく、上品な光沢感もあり弾力性に優れ、型崩れがしにくい素材です。
30数年前、カシミヤのセーターを持っていなかったのですが、セールストークとして上記の事を説明をしていました。
初めてカシミヤのセーターを着たときの感動を今も忘れません。
高品質によるデメリット
原毛が細く柔らかいがゆえにピリングが発生しやすいので、続けての着用は避けてください。
他の原毛より細くて食べやすいので虫食いに注意をし、保管には防虫剤、乾燥剤で保護をしてください。
カシミヤ原毛の生産とランク
カシミヤの生産地は中国、モンゴル、イランが主な生産地です。
寒暖の厳しい所で生息をしているので、表面は雨や風などから身を守るために粗毛で覆われ、その下に寒さから守る柔毛が密集をして生えています。
この柔毛を春の毛の生え代わりの時に、櫛で漉き取ったり拾い集めたりしますが、1頭から取れる量は150~250gしか取れず手間がかかります。
カシミヤの原毛にもウールのようにランク付けがあり、下記のように分かれます。
ランク 原毛の太さ 原毛の長さ
1等級 14マイクロン前後 34mm~38mm
2等級 14~15マイクロン 30mm~34mm
3等級 16マイクロン前後 28mm~30mm
4等級 16マイクロン以下 30mm以下
この等級以下の原毛もあるようです。
大事なセーターのお手入れ
着用後は毛並みに沿ってかるブラッシングをかけ、汚れやほこりを取ってください。
長時間の着用は、型崩れやピリングが発生しやすくなるので避けてください。毎日連続して着用は控え、1日着たら1日以上は休ませて下さい。
ピリングが出きってしまった時には、ハサミで生地を切らないように注意をして、毛玉だけを切り取ることをお勧めします。
最後に
今回、カシミヤに付いて書きましたが、調べる中でよく出てくるのがカシミヤ原料の偽装の問題がありました。
高級素材として人気が高いのですが、その割には生産量も少なく、また識別方法も難しいので羊毛などを混ぜる偽装が後を絶たないようです。
一説には、カシミヤの流通量は生産量の4倍くらいあると言われているそうです。
高価な商品ですので、ご購入には安心のできるところからお買い求めいただき、大事に扱っていただければ幸いです。
本日も最後までお付き合いを頂きありがとうございました。