ニット素材のナイロンについて
- 編み・柄
- 投稿日:
- 2024-12-12
- (更新日:2024-12-06)
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こんにちは。丸安毛糸の住吉です。
近頃は福利厚生を利用して、会社近くのスポーツジムに行き
弊社小林(大)より、パーソナルでトレーニング指導を仰いでおります。
師曰く、「筋肉もニットも繊維でできている」という名言を胸に
来年の春夏からはシャツがはちきれんばかりの肉体を武器に営業活動に勤しみたいと目論んでおります。
さて、今回はニット糸としてのナイロンについて、ご紹介をしていきます。
ナイロンのできるまで
ナイロンは、工業化に成功した合成繊維としては始めてのもので、1935年に米デュポン社の研究員だったウォーレス・カロザースによってナイロン6,6が合成されました。アジピン酸とヘキサメチレンジアミンという2種類の化学物質を結合させて作られたものでした。
1938年デュポン社は、ナイロンを世界初の本格的合成繊維として発表しました。当時のキャッチフレーズは「鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い、石炭と空気と水から作る魔法の繊維」でした。
ナイロンは、このフレーズと共にあっという間に世界中にその名が知れ渡っていきました。現在は、コスト削減の為、石炭から石油に代わっています。
また、その強さと軽さゆえにファンシーヤーンの押さえ糸(形状を崩れないようにする糸)に使われたりします。形状が面白い糸にはナイロンが混紡されて混率に表記されているかもしれません。
ナイロン糸の特徴
ナイロン糸は、化学繊維の一種で、その強度、耐久性、そして軽さが特徴です。ニット素材に使用される場合、以下の点が特に挙げられます。
- 強度: 綿の約10倍の摩擦強度があり、非常に丈夫です。濡れてもその強さはほとんど変わりません。
- 軽さ: 比重が綿の70%と軽く、大量に使われている繊維の中では一番軽い部類に入ります。
- 速乾性: 水分を吸収しにくいため、汗をかいても乾きやすく、快適な着心地を提供します。
- 弾力性: しわになりにくく、型崩れしにくいという特徴があります。
- 耐久性: 摩擦や引張りに強く、長期間にわたって美しい状態を保ちます。
- 染色性: 染色性が非常に高く、鮮やかな色に染めることができます。
ニット素材におけるナイロン糸の役割
ニット素材にナイロン糸が使用される主な理由は、その強度と耐久性、そして速乾性にあります。
- 強度向上: ナイロン糸を混紡することで、ニット製品全体の強度を高めることができます。特に、頻繁に洗濯するようなアイテムや、アウトドアウェアなど、耐久性が求められる製品に多く用いられます。
- 形状安定性: ナイロン糸の弾力性により、ニット製品の形状を安定させ、型崩れを防ぎます。
- 速乾性向上: ナイロン糸の速乾性は、運動時のウェアや水着など、汗をかくことが多いアイテムに快適性をもたらします。
- 軽量化: ナイロン糸の軽さは、ニット製品全体の軽量化に貢献し、着心地を向上させます。
- その強さと軽さゆえにファンシーヤーンの押さえ糸(形状を崩れないようにする糸)に使われます。形状が面白い糸にはナイロンが混紡されて混率に表記されていることが多々あります。
ナイロンニットのメリット・デメリット
メリット
- 丈夫で長持ち: 頻繁な洗濯や摩擦にも強く、長く愛用できます。
- 速乾性が高く快適: 汗をかいてもすぐに乾き、快適な着心地です。
- 軽量で動きやすい: 軽量なので、運動時やアクティブなシーンでも動きやすいです。
- シワになりにくくお手入れが簡単: アイロンがけの手間が省けます。
デメリット
- 肌触りが硬い場合がある: 天然素材に比べると肌触りが硬く、チクチクと感じる場合があります。
- 静電気が起きやすい: 冬場など乾燥する時期には、静電気が起きやすいというデメリットがあります。
- 熱に弱い: 高温のアイロンや乾燥機は避ける必要があります。
ナイロンの新しい表現
写真は、ケーブル柄をナイロン100%糸で編んだものです。
ナイロンを他の素材を混紡する使い方が一般的ですが、ナイロン100%の糸で編むと独特なスポンディッシュな仕上がりでなにより軽さが特徴的になります。
この糸の形状はこんな感じでウーリー糸のように何もしないとフワフワしていて、引っ張ると糸状にみえる糸です。
このように伸縮がかなりあるので、製品としては天竺組織だと乱寸しやすいというデメリットがありますが、地柄にしたり編み方の組みあわせを工夫することにより、比較的安定させることができます。
まとめ
ナイロンの耐久性や強さはたくさんの可能性が秘められていますね。強度だけではなく、染色性が高く鮮やかな色に染まるという点も特筆できます。昨今ではシーズンレスに使える素材がニットに限らずキーワードとなっていますが、使い方によっては3シーズン程使用可能で、今後ますます提案の幅が広がっていくのではないでしょうか。
最後まで読んで頂きありがとうございました。それではまた。