スパン糸とフィラメント糸・加工について
- 基礎講座
- 投稿日:
- 2024-08-20
- (更新日:2024-08-19)
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こんにちは。丸安毛糸㈱ 住吉です。
今回は糸の種類、スパン糸とフィラメント糸と加工にについて説明していきます。
全ての糸はスパン糸とフィラメント糸に分類されます。
スパン糸(短繊維)
スパン糸とは繊維長の短い原料を紡績した糸の事で、原料にはウール(獣毛も含む)、綿、麻、アクリル、化合繊を短くカットしたものがあります。ステーブルヤーンともいいます。
スパン糸を紡績した時の特徴は、繊維長が短いので多少の毛羽立ちがあり柔らかな風合いになります。
かさ高にも感じることができます。
欠点は繊維が短いので光沢感が無く、強度も強くはありません。
ウールはスパン糸の分類に入るのですが、その中でもさらに繊維長の短い物を紡績したものを紡毛糸、長い毛を紡績した物を梳毛糸と言います。
綿も同じ分類ですがその中でも分かれ、通常の綿の繊維長は2.5cmくらいですが、中には4.5cmと長い物もありそれを超長綿と言います。
フィラメンント糸(長繊維)
フィラメント糸とは繊維長の長い原料を束ねてから撚りを入れて1本の糸にしたもので、ナイロン、レーヨン、ポリエステルなどがあります。
通常、モノフィラメントを撚り合わせてマルチフィラメントとして利用します。
同じ太さのフィラメント糸でも、合わさった本数が多く集まった方がしなやかな糸になります。
フィラメント糸の特徴は光沢があり、さらっとした風合いと強度に優れていることです。
欠点はスパン糸に比べ高価であることです。
レーヨンにもフィラメント糸とスパン糸がありますが、光沢、風合い、強度、単価に違いがあります。
ナイロンはほとんどがフィラメント糸ですが、紡毛糸を作る時には繊維をカットしたものを混紡して使います。
モノフィラメントとは釣り糸と同じで、一本の繊維で作られた糸です。強度が強すぎるのでニットとして使うには50デニール位の太さまでが限界になります。
フィラメントを構成する繊維は基本的には化学繊維が多いですが、
天然繊維の中では唯一 シルク(絹)でのみフィラメント糸をつくることができます。
フィラメント糸はニットはじめ衣類はもちろん、高密度織物として各種資材関係、スポーツ用品やアウトドア用品などある一定の強度を求められる用途で非常に幅広く活躍しています。
柔らかさやボリューム感を出すために加工することによってスパン糸のような風合いにすることもでき、自由度が高いのもフィラメント糸のメリットの1つです。
仮撚加工糸
ポリエステルやナイロンなど熱可塑性のあるフィラメント繊維に撚りをかけた(仮撚り)状態で加熱・冷却してクリンプ形状を持たせ、嵩高性や伸縮性を与えた加工糸。ウーリー糸とも呼ばれます。
カバリング糸
芯になる糸に鞘となるフィラメント糸や紡績糸をコイル状に巻きつけた糸。ポリウレタンの芯糸にポリエステル・ナイロンなどの糸を巻き付けたストレッチヤーンは代表的なカバリング糸で、その構造によりシングルカバー・ダブルカバー・コアスパンヤーンなどがあります。
混紡糸・複合糸
種類の違う短繊維を混合して紡績することにより異なる風合や機能を加え、コストを抑える目的にも使われます。ポリエステルと綿の混紡素材は汎用性が高く、幅広い用途で使用されています。複合糸は合繊フィラメントを芯に綿や羊毛などの短繊維を撚り合わせた糸でコアヤーンと呼ばれ、合繊と天然繊維の特性を合わせ持った糸として様々な開発が進められています。
以上、簡単ですが糸の種類と加工について、ほんの一部ですが紹介させていただきました。
調べれば調べる程に奥深い糸の世界ですが、また実際に加工の現場などに訪れて見て学んできたいと思います。
それではまた。