【特別企画】 和紙糸についていろいろと調べてみました。Part2
- 基礎講座
- 投稿日:
- 2024-07-09
- (更新日:2024-09-09)
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こんにちは。
前回は和紙糸に関する情報を原料編としてご紹介しました。
まだ、ご覧になられていない方は本記事と合わせて是非ご覧ください。
今回はPart2として編み・製品に関してまとめてみました。
編む際に気をつける事
①乾燥
和紙糸は他の素材に比べて、糸そのものが乾燥すると切れやすくなる性質があります。
身近な例で例えると、肌が乾燥すると突っ張ったり、緑色の生き生きした葉っぱが落ち葉になると割れやすかったり、生うどんより乾燥うどんの方が切れやすかったり、、、など。
要は水分が失われると硬さや柔軟性が低下し、ある程度の負荷が編み立て中にかかると切れてしまうことがあります。
よくある例としては、湿度の高い夏場にサンプルを作成→乾燥時期の冬場に量産編み立てを行うと糸が乾燥し柔軟性が低下する事で、同じテンションデータを使用すると切れてしまう場合があります。
対応策としては、糸そのものに対して保湿をしてあげる(加湿器等)ことで一定程度の効果が見込まれます。
また、乾燥時期を考慮した製品作りに注意することです。
②編み地
和紙糸は製品目付けが軽くなりやすいことから、両畦やスムース編みなど糸を多く使用する編み方に一見向いていそうですが、場合によっては和紙糸の伸度の問題で切れてしまう可能性があります。
例えば、上記に上げたダブル組織の編み地や、ケーブル編み、大減らしなど目移しが多発する柄の場合には注意が必要です。
可能な限りシングル組織がトラブルを避ける点において望ましいですが、ただガーター編みの様にコース毎の規則性がシンプルな物は編みやすい傾向もあります。
③粉落ち
たまに編み立て中に粉落ちという現象が起きる場合があります。
特にニッター様としてはこの粉落ち現象が発生すると編み針に粉が付着したり、底に粉が溜まってしまうことで次の製品を編む際に粉がついてしまう場合があります。
主な原因はスリットにあると言われています。
カッターの刃と同じで新品の刃は切れ味が良いが、古くなるにつれて切れ味が悪くなる→鋭くカット出来ていない部分がささくれの様な状態になり、編み立てをする際に細かい粉埃の様な状態で編み機に溜まってしまいます。
④番手ムラ
スリットはmm単位での指定をしているものの、厳密には一定では無い為、時に頻発する場合があります。
日本のスリット技術は世界で見てもトップクラスではありますが、企画時はなるべく1本取りではなく2本以上で企画する方が安定しやすい傾向にあります。
⑤同ロットでも色の個体差、風合い差が起きやすい
仮にRW、染色ロットが同じであっても紙になる前の原料ロットが違う場合にこの現象が起きやすいです。
リネンなどと同じく、原料が植物に由来していることから同じ設計で紙を作っても微妙な厚みやその時の原料のコンディションにより線量の入り具合が変わり、結果的に個体毎に異なる色差が出る場合があります。
その為、生地糸ロットの違うものは同釜で染色をすることは避けた方が良いと言われています。
風合いさについても同じ理由から硬い、柔らかいの差が生まれます。
上記の理由より、リピート企画の際に、前年の残糸でサンプル作成→今年の糸で量産をすると、風合いさが大きく出る場合があるので、極力サンプルから同年のロットを使用することが好まれます。
製品の洗い方の表記について
⚫︎洗濯、取り扱いの方法
※編み地の使い方によっても違うため、実際の製品によっても変わりますので、試験をお勧めいたします。
下記参考として
【洗濯時の注意事項】
液温は40°Cを上限とし、ネットに入れて手洗いによる洗濯ができます
漂白処理はできません
タンブル乾燥禁止
日陰での平干し乾燥
底面温度110°Cを限度とし、スチームなしでアイロン仕上げができます
石油系溶剤での弱いドライクリーニング
素材の特性上、多少縮むことがありますので、形を整えて、干すときは型崩れを防ぐためにハンガーではなく平干しをお勧めします。
まとめ
Part1,Part2に渡る和紙糸に関する記事はいかがでしたでしょうか?
和紙素材限らずいろんな素材に一長一短ありますが、特に和紙糸に関しては軽さ、肌離れの良さ、吸保湿性にする優れているという特徴があるので、是非SS素材としてご検討していただければと思います。
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