【特別企画】 和紙糸についていろいろと調べてみました。Part1

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私達の糸ブランドMONTELUCEの最新2025SSコレクション「間と軽さと肌ざわり」では和紙素材が新たに2種加わりました。

和紙素材は軽さ、肌離れが優れていて、日本の高温多湿な夏にはピッタリな素材ですよね。

でも和紙ってもともとは紙。どうやって糸になっているの?扱いの注意は?よく編みづらいと言われるけどそれは本当?など、実は知らないことばかり。

そこで社内でアンケートを実施し、それをもとに調査団(社内では匠チームと呼ばれています)が色々と調べてみました。

すると、かなり内容が濃いものになり、社内で留めておくのももったいない!ということで、いつもご覧いただいている皆様にも、匠の調査結果を2回に分けてご紹介できればと思っております。

Part1は原料の話、Part2は製品や・編みの技術的な話です。

では、さっそくPart1をどうぞ!

和紙糸の製造工程について

和紙の原料としてパルプが多く使用されています。

※パルプとは・・・木材、草、マニラ麻などの植物性材料から抽出した繊維状の物質。

https://www.ojiholdings.co.jp/product/pulp.htmlからお借りしました。

パルプと水を含む化学溶液を含む桶の周りで枠を移動させることによってシート作られます。

その後、糸の形状を作るために薄くスリットされたのちに撚りが加えられることで単糸が作られます。

この工程を踏むことにより、和紙に強度が付与され水に溶けない丈夫な糸となります。

100%和紙から作られた糸もありますが、綿やビスコースなどの他の繊維と組み合わせて撚ることもあります。

例)

セフィロ https://www.maruyasu-fil.co.jp/departments/monteluce/yarn-collection/10263

テクネ https://www.maruyasu-fil.co.jp/departments/monteluce/yarn-collection/758

リコ https://www.maruyasu-fil.co.jp/departments/monteluce/yarn-collection/10265

スリットされた後にコーンに巻かれた状態

特徴

和紙には様々な特徴があります。

①吸放湿性

②UVカット

③抗菌・消臭

④軽量

⑤清涼タッチ

①~⑤までの特徴は、和紙糸のその構造上の特性が要因となっています。

①吸放湿性

和紙の繊維は長く、微妙な隙間が存在します。これらの隙間により、空気が繊維間を自由に行き来することができ、結果として通気性が高まります。 また、和紙糸は「水撚り製法」により作られ、この製法により糸はランダムに絡み合い、繊維の間にさらに小さな隙間が生まれます。これらの隙間が空気の流れを促進し、通気性を高める役割を果たします。 したがって、和紙糸の通気性は、その繊維構造と製法によるものであり、これが和紙糸製品が快適な着心地を提供する理由の一つとなっています。

夏には嫌な汗を吸収し、冬には保湿をし乾燥を防ぐ素材です。

②UVカット

上記でご説明した糸の隙間=多孔質(小さい穴が沢山ある)がある故に、和紙の内部で紫外線の乱反射が発生し、透過する紫外線が少なくなる為です。

③抗菌・消臭

空気の流れが発生する事により、菌が好む湿気を貯めこまない事による構造上の理由と、原料本来の機能によるものが考えられます。

木の幹や植物の茎にあたる物は要は人間でいう皮膚にあたる部位です。

これらは生体を守る為に、表面の温度を一定に保ち、菌の繁殖や紫外線をブロックする天然由来の特性を持ち合わせています。

④軽量

上記で触れているように糸自体が空気を多く含む構造になっている為に軽量に上がりやすい特徴があります。

⑤清涼タッチ

①の吸放湿性も一つの要因であり、また毛羽が非常に少なく表面が滑らかな為、肌に対する摩擦を軽減してくれる事が理由の一つです。

その他知識

⑥サステナブル

マニラ麻を原料とする和紙糸に関して、マニラ麻は自生力が強く、栽培に農薬や化学肥料を使用せず、収穫から2~3年で再生を繰り返す多年草である為、環境負荷が少なく循環型の素材と言えるでしょう。

また、針葉樹の間伐材が使用されるケースもあり環境に配慮した物が使用されます。

※間伐材とは・・・間伐材(かんばつざい)とは、森林の成長過程で混み合った樹木を間引く間伐の過程で発生する木材のことです。間伐は、森林を健全な状態に保つために、混み具合に応じて樹木を間引き、残した木の成長を促す作業です。定期的に間伐を行うことで、生い茂った木々でブロックされていた太陽光が地表に届けることができ、下層植物の発達が促進されます。これにより、森林の持つ水源かん養機能や土砂災害防止機能、生物多様性保全機能などが増進されるといわれています。

⑦染色

和紙×異素材の組み合わせの場合、染料の吸着スピードに差が生まれ、独特な杢調の染まり方になります。

まとめ

以上、和紙の原料に関する情報、Part1でした。

次回は、製品・編みに関わる内容をお送りいたします。

次回もお楽しみに!