ニットの品質基準や証明について

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こんにちは。丸安毛糸の住吉です。

今回はニット編地や製品の品質検査について、

一体どのような検査の種類があり、どのような内容の検査をするのか

お伝えしていきます。

まずニットの品質とは何かというと、光や摩擦に対してどのくらいの耐性があるかということで、

多くの場合下記のような検査項目によって測られます。

堅牢度

素材(糸)の品質に関する検査で、日に焼けやすいかどうか、色落ちや洗濯に対する耐性を調べます。

主な項目は、

耐光…光によって変色する度合い

洗濯…一般的な洗濯洗剤での色落ち、洗濯液に色が染み出す度合い

汗…人の汗で色が褪せたり変色する度合い

摩擦…こすれた際に色が落ちる(他の服などこすった相手に色が移る)度合い

ドライクリーニング…ドライクリーニングでの色落ち、色が溶剤に染み出す度合い

結果は各項目の基準をもとに目視で判定されます。

ピリング

編み地の毛玉ができやすいかどうかを計測します。

3時間~5時間編地に摩擦をかけ、どのくらいの毛玉ができたかを目視で確認します。
特に秋冬物のセーターで毛玉ができにくいのがいいと言われることはないでしょうか?
基準値以下の素材は使えない、という判断を持つアパレルも多くあります。

縮率

ニットの編み地が洗濯後にどれだけ縮みやすいかを計測します。
水洗いやドライクリーニングなど洗濯方法を指定し、元の編地の寸法に対して、

どのくらい変化が出るかを%で表示します。

家庭で洗濯できるかどうかの判断基準として活用されます。

その他

素材や編み地、製品デザインによって、引っ張り強度や色泣き(配色の色が洗濯で滲まないかどうか)など

各種項目があり、企画に合わせて検査をとることができます。

合格基準について

検査の合格基準値は各アパレル毎で決められていることが多く
一般的にはこのくらい、というものもありどの項目を重要視するかはお客様次第になります。

合格できなかった場合

これも各アパレルによって対応が異なります。
例えばピリングですが、合格しないと販売しないという厳しい基準で品質を守っている所もありますし、

試験後の編み地を見て判断されたり、実際に製品を着用してみて最終判断するところもあります。

アテンションネームといって「ピリングが出来やすいので一度着たら休ませてください」というようなネームを品質表示と一緒に付けると消費者へ伝わりやすく安心です。

検査依頼について

検査をするには専門の機関へ依頼します。
日本には下記のような検査期間があり、会社によっては指定先があります。

一般財団法人ボーケン品質評価機構

公益財団法人日本繊維検査協会

一般財団法人ケケン試験認証センター

一般財団法人メンケン品質検査協会

などいくつかの検査機関があります。

一般的な検査は大体どこでもできますが、素材によって設備が整っていたり

知見が豊富だったりすることもあるので、検査内容によって依頼先を変えたりします。

証明書は出せる?

上記で書いた内容は試験結果の報告書を発行してもらえます。

ほかに証明書が必要になるような検査としては、混用率証明などがあります。

混用率証明については、主にカシミヤの混用率を証明することが多いです。

以前に混用率が表示と違っていた問題がニュースになったことを覚えている方もいるかもしれません。

そういった事例もあり、特に百貨店で販売しているブランドなどはほぼ全て取るようになりました。

検査への対応

検査の依頼はもちろん、検査項目が悪かった場合の対応提案をし、お客様が安心して販売できるように努めます。
検査基準や注意するポイントのご希望があれば、それに合わせた素材の提案もいたします。

品質表示手配

各アパレルによって検査基準が違うと書きましたが、特に基準や指定のない方、品質表示の内容についても一緒に依頼したいというお客様もいらっしゃいます。
私たちは素材を今まで使った実績や試験結果をもとにどんな表示が良いかを決定し、レイアウトも作成し

手配いたします。

糸の堅牢度はHPで見れます

丸安毛糸の素材は堅牢度試験をとり、データを公開しています。
データは色毎にありますし、素材を選ぶ参考にしてみてくださいね。

(↓プルーフプラスエコストレッチ1/60の堅牢度データです)

https://www.maruyasu-fil.co.jp/wp-content/uploads/2022/12/67c88a6e771a840c773db60e2e27f395-1.pdf

まとめ

ニットの品質基準について、大まかにお伝えしました。

最近は品質表示も含めて生産面はすべてお任せしたいというお客様も増えています。

社内で詳しい人がいないので疑問があったり、これって大丈夫なのかな?と思ったり、

トラブル対応をどうしたらいいか困っている方もいるのではないでしょうか?

私たちでサポートできることがあるかもしれませんのでお気軽にお問合せください。