ニットの編み端について
- 編み・柄
- 投稿日:
- 2023-10-12
- (更新日:2024-04-22)
こんにちは。丸安毛糸製品部の住吉です。
ニットの端が巻いてしまうというのは、主に天竺の編み地で起こる現象です。
カーディガンの前端を編み地の耳を使いたいけれど巻いてしまって安定しない、裾にスリットを入れた時に
編み端が巻いてしまう、ということはないでしょうか。
今回はなぜ編み端が巻いてしまうのか?
巻かないようにするにはどうすればいいかを解説します。
何故巻いてしまうのか?
① 巻く方向
ニットや、カットソー生地を扱ったことのある方なら経験したことがあると思いますが、
天竺の編地というのは、素材にもよりますが一般的に端がクルクルとロール状に巻いてしまいます。
編出し/編み終わり、地の目で言う正目方向は生地表側に、
編み端、(カットソーでは生地の耳側)が生地裏側に、
に巻いてしまいます。
これは、天竺編地での一般的な巻方向となりニットの特徴のひとつでもあります。
② どうして巻いてくるの?
天竺の編み方、編目の作られ方というのは、すでに前に編まれていたループ(旧ループ)に後ろ側から新しいループをひっかけて作られていきます。
この連続するループの形自体、湾曲してまっすぐなものではないので、かかる力の方向が決まっています。
編地自体がこの連続したループの向きによって形作られているので、編地に働く力は、タテは前側に、ヨコは後側に巻き込むようにかかっています。
よって、編地の端は、抑えられる生地もないので自然と巻いてしまい、カットした場合に至っては、どこで裁断しても同じように端がクルクルとロールしてしまうのもそのためです。
編み地の丸まりを解消する方法
それでは、編み端のロールを抑える方法をいくつかご紹介します。
基本的には、天竺のままではどうしても巻いてきてしまうので、編み端を別の組織にします。
①総針
総針組織は、表と裏で同じように表目が出るようにするため、編み地が片側に巻くのを解消します。
組織としては、下記のようなものが多く使われます。
・総針
・片袋(ハーフミラノ)
・袋編み
素材やデザインに合わせてバランスの良い組織を使います。
② リンクス柄
リンクスは表と裏を組み合わせた柄で、表と裏を同じように配置することで端の力を相殺させます。
・リブ(1X1リブ、2X2リブ等)
・ガーター(1X1ガーター、2X2ガーター等)
一般的に上のような組織で端をカバーすることで押さることができます。
素材やストレッチ入りなど、さらに巻く力が強い場合は、組織の巾を広くするなどしておさまるところまで調整したり、セットプレスなど仕上げでできるだけおさまるように整えることもあります。
また、度目が強い程、巻く力も強いので、甘い度目で風合い感を変えてしまうことも例外ですがあります。
③別のパーツを付ける
上記のように編み地の組織を変えてもどうしても丸まってしまったり、
組織の境目で折れてしまう場合の対処方法としては
・見返しに共糸のテープや、布帛のテープなど別パーツをつけて丸まりを抑える。
・編み地を折り返して見返しにする
・全面的に組織を総針やリブなど別の組織に変える
などになりますが、厚みや見た目、コストにも影響がでてきます。
あえてロールさせてしまう
ロールを抑える方法を紹介してきましたが、あえてロールを使ってみることもあります。
裾、袖口や衿など、ロールにすることで、切りっぱなしのようにとても自然な雰囲気で軽い仕上りがニットならではのポイントになります。
天竺のニットの端は丸まってしまうものですが、デザインとして活かしたり、編み地を工夫して解消することができます。
ニットの特徴として知っておくことで企画に活かしていきたいですね。
それではまた。