ニット特有の技法リンキングについて

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こんにちは

素材部の加納です。

最近日中は暑い日もありますが、夕方になるとだいぶ涼しく感じる日が増えてきましたね。

去年の今頃は卒業制作に追われていたなぁ、なんてこの間はぼんやりと思い返していました。

今回は私が制作で苦戦したリンキングについて、ご紹介させて頂きます。

リンキングとは?

編み地のループとループの目を針に刺して、2つのパーツをチェーンステッチで縫いとめる縫製法です。

表はミシン縫いのように見えますが、裏にはチェーンステッチができます。

昨年作成したアウトリンキングニット表
昨年作成したアウトリンキングニット裏

布帛のように縫う距離をcmやmmで行うのではなく、リンキングには編み地と同様にゲージがあり、編み地のループの大きさによってリンキングのゲージが決められます。

リンキングのゲージを決める目安は、編み地のゲージよりも2ゲージ程細かくするのが目安とされていますが、編み地の組織(天竺、ゴム地など)によっても変わってきます。

また、ループを目刺して縫製するので縫いズレが起こりにくいのが特徴です。

リンキング機には主にダイヤル式リンキングと、フラット式リンキングの2種類があります。

【ダイヤルリンキング】

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放射状に針があるため、どんな長さでもリンキング可能です。

リンキングに用いる糸は、基本的には共糸を使用します。

糸が弱いときは、同じ太さの糸を使うか、細い同素材の糸や、スパン糸などを引きそろえて縫製されることもあります。

【家庭用リンキング機】

学生の時に使用したリンキング機は、糸をセットしてペダルで踏みながらリンキングするものを使用していました。針が爪の隙間に入り込んでとても痛かったです…。

目を正確に拾えていないといけない為、差し直しも多々ありました。

こちらは上手にリンキングができた!と喜んで先生に見せた当時の編地パーツです。

制作の時はチェーンステッチでしっかりと縫い止めて、捨て編みの部分を取っていきました。

リンキング作業中は編み目を落とさないように、とにかく細心の注意が必要です。

なぜ、ニットはリンキングなのか

リンキングは編目のループとループを縫い止めるので、縫代が限りなく薄くすっきりと仕上がります。

また編目を追って縫製するので柄合わせが出来ます。

ジャージーなどで出来たカットソーは布帛の場合と同じ縫製をするので、襟ぐりの小ささに限界があり、頭を通して着脱するうちにネックが伸びてしまう事が多々あります。

ダルダルになったTシャツ(私物)

しかしリンキングされたセーターなどは、首周りが多少狭くても、頭をすっぽり入れることが出来るのにもかかわらず、襟ぐりも伸びません。

これはリンキングに伸縮性があるからですね。

18Gニットのリンキングは美しい

まとめ

「リンキング」の特徴

①ループとループを繋ぎ合わせるため縫い代が少なく端が整っているために、肌当たりが良い

②ニット独特の伸縮性が保たれる

③編目を数えてリンキングできるため、柄合わせが可能

国内では年々リンキングが出来る職人さんが減っているとのことで、特にハイゲージのニットとなると出来る方がかなり限られており、どうしても海外に依頼しがちになっているようです。

ハイゲージニットは本当にラグジュアリー感がありますね。

手間のかかるリンキングでつなぎ合わせるからこその最高の着心地になるんですね。

それではまた!