成型編みとカット縫製 仕立ての良いニット製品はどっち??

  • ニット製品

みなさんおはこんばんにちは

 

新年早々 高熱を出しながらも医者にもいかず何とか気合いで乗り切った

松井です。

 

 

みなさんはどのような暮れ正月を迎えられたでしょうか?

私は親戚周りがほとんどで 日替わりに両親の実家も含め転々とし

あっという間に過ぎてしまった印象です。

 

 

また日課にしているジム通いもさすがにこの時期はジムも

空いてないので

正月なまりしないように 家トレと食事管理もしていたので

脂肪も増やすことなく年始を迎えることが出来たのにはほっと一安心といった感じです

 

 

さて今日のお話は成型とカット縫製の違いについて少し触れていこうと思います

 

成型編みとカット縫製の違いとは!?

素材を扱うことがメインの私ですが

お客様との会話の中で製品についての質問を頂くことも実は

そんなに少なくありません

 

その会話の一つにタイトルにもある

成型とカットの話ががたまに上がります

 

こんな言い方は失礼かもしれませんが

あまりニットを知らない方も

成型で作るのは良い商品 カットは次点という認識を

持っている方が多く

やたらめったら 何でも成型で作って欲しいと指示している声を

割と耳にします

 

確かに私自身も

私は文化服装学院のニット科出身なので

学生時代 ニットの良さとは1本の糸を編み合わせることで

製品が出来ること

ということを教えて頂いたこともあり

ニットにハサミを入れることは 完成度という点のみで言うと

あまり好ましくない手段という認識が

誰に教えられるでもなく自動思考のように持っていたように思います

 

 

でもニットに携わる仕事を続けていくうちに

成型>カット縫製 は

必ずしもそうなのだろうか?という疑問を持つようになったのも

割と最近の話です

 

ということで 成型編みとカット縫製の違いを

改めて書き出してみることにします

 

こんな違いが有る 成型とカット

 

1.成型編みはカットロスが無い為 糸の使用量に無駄がない

 

2.成型はパターンに合わせた 編みのデータを作らなければいけないがカットは

  パターンがあればその必要性が無い

 

3.それに加えて 成型はサイズ展開の数だけ同じ作業量の編みのデータ作成が必要

 

4.カットの場合 ガーメントの状態で風合い出しの仕上げを行った後

  裁断・縫製という手順であれば色ごとの乱寸が起こらない

 

5.カット縫製のほとんどは裁断端の始末にロックが入る為 それがチープに見える

 

6.成型の場合 シルエットもっと詳しく言えばアームホールのラインなど

  パターンのように線を描くような滑らかラインは

  ローゲージになるほど編み目の一目一目の構成でラインを作る為

  難しくなる

 

7.カット縫製の場合 パーツをつなぎ合わせる縫製方法がミシンでの本縫いになる為

  リンキングに比べ伸度が無く 縫製箇所でニット特有の”伸び”が止まってしまう

 

8.成型の場合 アームホールや襟ぐり周りなど

  いわゆる”ファッションマーク”と呼ばれるニットの成型編み特有の

  減らし目のマークを入れることが出来る

 

9.洋服が好きな方は 一般消費者であっても

  ロック始末のある製品より成型+リンキング仕立ての製品の方が

  仕立てが良いという認知がある!?(そういうようにファッション雑誌などでも謳っている影響もある!?)

 

10.縫製の場合 縫製箇所がミシンでの本縫いになる為

   地の目が通らない場合が多い

 

 

ざっと挙げてみましたが、まだまだ洗いだしてみればあると思います。

 

また、上記に挙げた内容も

一見短所のように書いた内容も 場合によってはかえって良く働く場合

(例えば:本縫いで縫製をしてしまうと伸びが止まってしまうなど

逆を返せば伸び止めになるという捉え方もある など)

を考えれば 場合に応じて一長一短ではないかと

 

また、製品の外観的な面で言っても

上記10点の内容だけからすると ロック跡や地の目が通らない

ファッションマークなど 縫製仕立てには良い点があまり無い様に見えますが

6個目に挙げた

 

成型の場合 シルエットもっと詳しく言えばアームホールのラインなど

パターンのように線を描くような滑らかラインは

ローゲージになるほど編み目の一目一目の構成でラインを作る為難しくなる

 

に関して言えば 図解にした方が分かりやすいので

アームホールのラインを下記に図解してみましたが

 

201501062006_0001-1201501062006_0001

 

 

目の粗い方はどうしてもラインがガタガタになってしまうので

綺麗なアームホールのラインを出したい場合など

私の知る限りでは メンズのショールカラーなどで地厚に仕立てたものなどは

アームホールの箇所に限って あえて裁断縫製を取っている場合の方が

多いように感じます

 

 

 

あとがき

学生の頃に作ったニットのジャケットで

立体パターンを全て中減らしで組み

私は肩接ぎのリンキングのラインも嫌だった為 肩も前と後ろを突き合わせて

メリヤス接ぎをしたのですが

見た目は接ぎの箇所が全くなく 外見上はとても美しく仕上がったのですが

ニット特有の伸縮性が災いし肩幅が全く落ち着かなかったことを思い出しました

 

こんな場合にもあえて縫製箇所をいれることで

形を安定させる必要性が出てくることを改めて考えます

 

 

ではまた