最近耳にするノンミュールウールとは?
- 基礎講座
- 投稿日:
- 2021-08-13
- (更新日:2021-08-04)
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皆様如何お過ごしでしょうか?
オリンピックで毎日金メダルという明るいニュースと共に、これまでにないスピードで
コロナ感染(陽性者)が広がっている中、ブログを書いています。
写真は先の4連休に走ってきました恒例の富士五湖一周の際の本栖湖からの富士山
(千円札)の写真です!(自己満ですが)
ワクチンを心待ちにしながら、V字復活する日本経済をいまかいまかと楽しみにしています!
さて今回はサスティナブル、エシカルな流れで無視出来ないメリノウール(羊)のミュールジングについてお話ししましょう。
メリノ種
ウールの生産量
現在ウールは世界で114万トン生産されています。主な国では23%がオーストラリア、16%が中国、10%がニュージーランドといったところです。国別の消費量では中国、アメリカについて日本となりますので、一人当たりの消費量は日本が世界一のようです。羊毛をほとんど生産していない我が国が世界で最も消費しているんですね?
私は初めて知りました。
初めて聞かれる方が多いと思いますが、動物愛護の問題で今後必ず問題提起されると思われるのがミュールジングです。
ミュールジング
まずミュールジングとは羊の臀部や陰部の皺(しわ)に糞や虫が付いてしまい病気になる事を防止する目的で無麻酔で皮膚や、肉の一部を切り取る行為の事を指します。これは主にメリノ種に対して行われています。羊の痛みを伴うので動物愛護の観点からイギリスでは早く禁止され、ニュージーランドでも2018年に禁止されました。(ニュージーランドではロムニー種が大半)
ミュールジングを取り巻く環境
オーストラリアではまだ禁止されていませんがこれには様々な理由が有ります。
オーストラリアに最も多く飼育されているメリノ種が最もミュールジングが必要な品種なのです。メリノ種は長年を掛けて毛が多く取れる様に皮膚面積を多くする為の品種改良された事で皺(しわ)が非常に多く、不衛生になり易いのです。またオーストラリアの気候から虫が湧き易い事も有り、ミュールジングをしない事で虫が湧き、病気で最悪死んでしまう事も有り、非常に難しい問題です。
オーストラリアでも最近は麻酔を行ったうえでミールジングを行ったり、ノンミュールに挑戦する農家も増えているそうです。ニュージーランドなどのミュールジングを行っていない国では年に二回(オーストラリアでは一回)刈り取る事で皮膚を穏やかな状態とする環境作りをしています。(ただしニュージーランドではロムニー種が主なので影響は少ないです)
ロムニー種
ただしオーストラリアでは年に二回刈り取るとメリノ種の最大の特徴である質の良い、長い繊維が育たなくなるという事に繋がってしまい、メリノウールの質が落ちてしまうのです。
ミュールジングに関わらずに世界からオーストラリアのメリノウールに対してこれまで通りの高い品質(白度が高く、伸縮性や弾力性に優れている)に対して需要が有る為に、大きな変換が出来ない原因ともなっているようです。既にノンミュールウールしか使わないと発表しているブランドも有りますが、ミュールジングをしている事がすべて悪いとは言えない状況のようです。
今後は世界的なサスティナブル、エシカルの流れは変わりようが無く、より厳しくなっていくと思われます。
ミュールウール不使用宣言をするブランドも今後は増えてくることでしょう!ただブランドも規模が大きくなるとすぐに切り替えるのが難しく、数年を掛けて移行していくしかない実例が有ります。
世界的なサスティナブル、エシカルが要求するスピードにノンミュール化するスピードが追いつき、全てを変更するという事は非常に難しく、今後は徐々にそういった方向に向かって行くしかないのではないでしょうか?
皆さんはこの問題についてどう思われますでしょうか?
今回は以上です。
難しい問題ですが、今後必ず直面していく問題です。私たちは一消費者としても様々な事に自分の考えを持ち行動する事が必要と感じました。