接触冷温感試験についてもう一度勉強をいたしました
- 繊維と糸
- 投稿日:
- 2020-08-26
- (更新日:2024-09-09)
1
こんにちは、佐野です。
以前天然接触冷感素材、スポエリーアイスコットンを使用した“アイスタッチ”という生地をご紹介させていただきました。
その際、接触冷感試験を取ったところ、昨年JIS規格が改定され、接触冷温感試験の試験方法と合格基準が変更になった旨を合わせて説明させていただきました。
本日はその接触冷温感試験について、新たに勉強になったことがありましたのでご紹介できればと思います。
前回の記事はこちらです
→【動画も有ります!】夏のニットマスクに最適!接触冷感機能のニット素材をご紹介します!
JIS規格で制定された接触冷温感試験
まず初めに、早速驚きの情報がございました。
接触冷感試験(正しくは接触冷温感試験と言います)は、昨年までJIS規格にはなかったとのこと。
???ってなりました。
ご存じの方も多くいらっしゃることと思いますし、私の完全なる勘違いだったのですが、
これまで接触冷感素材ができた際は当然試験を行い、厳密なところまで知識として持っていなくても、
“q-max値0.2以上がでれば合格”という認識を持っていました。
そこで今年の春、新たにつくった素材で接触冷感試験を行ったところ、
“昨年JIS規格が改定され、試験方法と合格基準が変わりました”と伺っていたのですが、内容を詳しく突き詰めてみたところ、、、
・そもそも接触冷温感試験はJISには規格そのものが存在しなかった
・それが初めて昨年JISにも取り入れられ、試験方法と合格基準が定められた
ということが初めてわかりました。
試験機関の方にお伺いしたところ、“堅牢度試験などの物性データ”はJISでもしっかりと定められていることに対し、
“機能系のデータ”に関してはまだまだ規格がないものが多いとのことでした。
なるほど知らなかった!!
今回改めて勉強になった次第です。
JISで定められた接触冷温感試験の方法と合格基準
こちらは以前のブログでも触れましたが、今一度ご紹介いたします。
上記の流れを経て、JISで定められた規格は下記のとおりです。
・生地の表面温度+10℃の熱源に触れさせる
・熱源に生地の表面温度が伝わるまでの速度を計測
・この速度の数値はキューマックス値と呼ばれ、0.1以上の数値で合格、接触冷感機能が認められる
という方法と合格基準が定められました。
ではこれまでの0.2以上の基準とは??
と、ここまでは新たにJISで定められた内容です。
では、今までのq-max値0.2以上って、なんだったの??が次の疑問でございました。
これにつきましても教えていただいたところ、
“長らくの間、JISで規格が定められていなかったため、百貨店さんやアパレル企業さんが各試験機関さんと協議の上定められた基準”ということがわかりました。
ただ、私たちがこれまで使用してきたデータもこれに基づいており、あくまで公式データであることは変わりありませんのでご安心ください!
たまたま、と言ったら語弊ががありますが、これまで私たちはq-max値0.2以上を基準としてきており、昨年初めてJISでも制定された方法が微妙に違うものであった、というところでしょうか。
もう一度整理しますと、
●これまでの試験方法と合格基準
・生地の表面温度+20℃の熱源に触れさせる
・q-max値0.2以上の数値で合格、接触冷感機能が認められる
今後はどうする??
●JIS規格での試験方法と合格基準
・生地の表面温度+10℃の熱源に触れさせる
・q-max値0.1以上の数値で合格、接触冷感機能が認められる
という違いですので、熱源の温度、合格値ともに半分になっていることから、表記は違えど結果は同じということになるようです。
そして、ここが重要なポイントとなるのですが、
これまでの試験基準、試験データは引き続きお使いいただけます。
どういうことかと言いますと、
先にも記載しました通り、改めてJISで制定されたものの、これまで各メーカーさんが基準を持って商品を販売されてきている、という点と、まだまだ業界内の一般認知度として、q-max値が0.2以上という基準の方が広がっていることから、
JIS規格でないと販売ができない、という厳密な縛りではなく、引き続き各メーカーさんの基準を公式データとして使って頂ける、ということでした。
現に、試験機関の方に教えていただいたところ、
JIS規格が制定された今でも、これまでの試験方法でデータを取得されている企業さんも多いとのことです。
まとめ
以上、新たに勉強した接触冷温感試験についてでした。
なるべくわかりやすいようにまとめてみましたが、、、伝わりましたでしょうか?
ここまでまとめてみても、私の認識不足もあるかもしれませんので、もし間違った内容を記載しておりましたらご指摘下さい!
こういったことも日々勉強ですね。
それでは!