インターシャとは|ニットではめ込みの柄を入れたいときに
- 編み・柄
- 投稿日:
- 2023-07-06
- (更新日:2023-06-30)
こんにちは沓澤です。
今回は、ニットのインターシャ柄について解説したいと思います。
インターシャ柄とは
インターシャ柄とは、編地の中で糸を切り替えて編んだ編み方です。
ニットで大き目な配色の柄や、ロゴを入れたりできます。
柄を編む方法としてジャカード柄と違うのは、柄に沿って糸を切り替えるので、はめ込んだような仕上がりになるところ。
ジャカードは糸を渡らせて表に出す糸を変えて見せるので、基本的に柄の糸もずっと編まれていることになります。
その為、編み地は厚くなったり、裏側の糸の色が少し見えてしまったりすることがあります。
詳しくはこちら。
ニットで配色を入れる方法、インターシャ、ダブルジャカードを紹介します。
どんなときに使う?
インターシャは基本的に天竺組織で使われます。
糸を切り替えて使うので、柄の部分もそうじゃない部分も天竺で編むことが出来、薄く、柄の見え方もスッキリ綺麗に仕上がります。
例えば、キャラクターや大きめのロゴや文字など、はっきりとしたラインの柄を表現したいとき、
ワンポイントとして柄を入れたいときに使うのが適しています。
インターシャ柄の注意点
インターシャ柄は糸を切り替えるので、機械の糸口(糸を通すパーツ)を多数必要とします。
さらにインターシャを編める機械も限られてくるので、工場さんへ依頼するときは対応できるかどうかの確認が必要です。
糸の切り替えによって必要となる糸釘は、編み地のなかで同じコース(編み方向)に何か所の糸が切り替わるかどうかで決まってきます。
例えば、この編み地を編むとき、糸の色は2色ですが、同じコースの中で柄が多く切り替わっているところは何か所あるのか?という視点で考えます。
※わかりやすいように柄が大きく見やすいため写真は手編みの編み地です。
写真の柄の場合、最大9本の糸を切り替える必要があります。
柄が切り替わるということは、糸を渡らせずにその部分で常に切り替えて編むということになります。
(糸を飛ばして編む=ジャカード編みになります)
切り替わるだけ糸口が必要=単純な色の数だけでなく、切り替わっている数で考えてください。
この場合は、糸口が9個+編立に必要な捨て編みやストレッチ糸を入れるなど+αの数が必要になります。
さらに、機械の性能だけでなく、糸の数が多ければ多いほど編み立てるときの管理や糸のロス、さらに切り替えた分の糸始末という手作業が増えてきてしまいなかなか生産効率が上がらない。
そのため、インターシャ柄はコストが高くなりがちです。
糸の切り替えの数を少なくする方法
では、細かい柄はほとんどできないのか?と思われるでしょうか。
実は柄のすべてをインターシャにする必要はなかったりします。
先ほどのこの柄、真ん中あたりは1目か2目しか柄がないですよね。
この場合、真ん中だけシングルジャカードの編み方で糸を裏側で渡らせて柄を作れば、柄の切り替えの数を減らすことができます。
インターシャの場合、裏側も表と同じように柄をはめ込んだようになるのですが、部分的ジャカード編みにすると、このように柄の部分だけ糸の渡りが出ています。
こうすることによって糸の切り替えが少なくて済む=糸口や糸の本数が少なく編みやすくなる=早く編める=コストも下げられる。ということになります。
細かい柄であればあるほど現実的に生産が難しくなってい上、柄部分が少し厚くなっても目立ちにくいでしょう。
これをインターシャジャカードと呼んだりしています。
柄の外枠はインターシャで、内側の細かいところはジャカードで編んでいいる状態です。
このようにすると切り替えは5本になり、編みやすくなりました。
この厚みがあれば表から見てもわかりにくいので③の部分も糸を渡らせると良いですね。
そうすると切り替える糸は3本になります。
インターシャジャカードで気になるのは、柄に沿って糸を入れていないと表から見た時に違和感を感じるというところです。
柄の枠をどこで取るか、何か所の切り替えで出来るかというところを気を付けて考えてみると良いと思います。
例えばこの柄は、柄の周辺でなるべく柄に沿って丸く切り替えています。
柄の上の方はなるべく線に沿って渡らせていき、切り替えの糸は3本となっています。
まとめ
インターシャは、昔手横機での生産が主流だったころはとても複雑な柄を手作業で切り替えながら編み立てる職人芸でした。
今はかなり少ないと思いますが、そうやって作られた編み地は繊細でとてもきれいです。
なかなか制限が出てしまう編み地ですが、完成度を上げるために、柄を工夫したいですね。
参考になれば幸いです。