英国羊毛と「ガンジー」セーター
- 繊維と糸
- 投稿日:
- 2020-02-21
- (更新日:2020-06-27)
こんにちは。
今年の冬は本当に暖かいですね~!
関東は2月の前半から中盤によく雪が降ってこの時期が一番寒い
はずなのですがもう春一番が吹くなどチョットおかしい天候ですね。
突然ですが2月10日は『ニットの日』でしたが皆さんはニットに関わる事を何かされましたか?
私たちは『ニットの日』イベントを企画しました。
ニットを大切に着続けられる手助けをするという趣旨で、「思い入れはあるけど引っかけてしまったり穴が空いて着れないニット」を持ってきて頂き、自分達の手で修理をする。。。のお手伝いをしました。
参加された皆さん本当に喜んで頂き私たちもとても嬉しく、この『ニットの日』イベントをやってよかったと思いました。
では本題です。今回は自分達で作るオリジナルセーターについて紹介をしたいと思います。
ガンジー(Guernsey)セーター
イギリスの南、チャネル諸島と呼ばれる島々の中にガンジー島、ジャージー島という島があります。
その昔、これらの島々では編み物がさかんでニットの産地として有名だったそうです。
イギリスで編まれるセーターの中にガンジーと呼ばれているものがあります。その昔イギリスの海岸地域に住む人は漁をして生活をしていました。
その人達が海に出る時に着ていたセーターがガンジーセーターと呼ばれていました。
ガンジーセーターは海の男の仕事着と思われていますが仕事をするときだけに着られていた訳ではありません。
漁師は礼拝に行く時に着る特別なガンジーセーターも持っていました。それらは「サンデー(日曜日)のベスト」と呼ばれ、模様も沢山編まれているセーターでした。
海の男達はワイシャツやネクタイを身に着けることが無かったので「サンデー(日曜日)のベスト」という立派なセーターを正装の場でも活用していたそうです。
ガンジー(Guernsey)セーターの特徴
海の男の服としてガンジーセーターは凍るような波をはねのけ、風も通さない頼もしい漁師の作業着として知られています。
①使用する毛糸はどんな糸かといいますと、あえて油分をたっぷり含み、クリンプ性の有る毛質のもので空気を含みやすい撚りのしっかりとした糸で編んでいます。これにより防水、防風効果を出しています。
②ガンジーセーターは国や村々で編み模様やディテールの差はありますが、基本的にはほぼ同じです。
③表裏が無い=これは暗闇の海でも表裏を気にせず着用するための工夫から生まれたアイデアです。
④胸の部分に編み模様が多い=模様が編み込まれた部分は無地の部分と比べると厚みが有ります。その為風を通しにくく大切な心臓を守ることが出来ます。
⑤脇に下にマチがついている=マチのおかげで腕は動かしやすく作業をするのにとても便利なんです。
⑥裾にはサイドスリットがある=セーターが作業の妨げにならない様に着用者の体に合わせて着丈は短く、タイトに編まれ豊富な運動量を確保する為です。
⑦立ち襟=首元の寒さを防ぐ為です。
スコットランドのガンジーセーターの特徴は襟にボタンがついています。
ガンジーセーターは身体にピッタリとした感じで編まれる為、着たり脱いだりするのが大変なんですが襟にボタンを付ける事でボタンを外せば着脱しやすく又、ボタンをしめれば首にピッタリとして寒さを防げる様になっているんです。
⑧袖や裾は無地が多い=袖や裾は作業で破れやすいのですぐ直せるように無地が多いのです。
⑨袖は手首まで=袖が長いと濡れやすく引っかかりやすくて危険なので。
ガンジー(Guernsey)セーターの編み模様(柄)
ガンジーセーターの模様は家紋や人の名前だったり、漁師の生活にちなんだ錨、網、ニシンの骨、波、海鳥、ロープ、また浜から家へと続く階段などがモチーフとなってそれぞに独自の模様となっています。この模様は一般的に海で亡くなった人を見分けるためとも言われていますが、編み手の中には自分の考えた模様に宗教的な意味をつけて編んでいる人もいるそうです。その編み手の模様はキリスト教にちなんで、イエス.キリストと12人の弟子を意味するV字模様や、イエス.キリストのおこした奇跡を示す太いジグザグ模様などがその編み手によって施されています。
ガンジー(Guernsey)セーターの編みかた
ガンジーセーターの編みかた大きく2種類の方法があります。
一つは針を4本使って輪っかにしてぐるぐると筒状に編んでいく輪編みです。
もう一つは前身ごろと後ろ身ごろを別々に編んで最後にドッキングさせる方法ですがガンジーセーターの基本は輪編みで編まれます。
まとめ
この様にガンジーセーターの模様には色々な説がありますが、一番は大切な人に対して、編んだ人の思いがそれぞれの模様に込められていることだと私は思います。
ではまた~。