「結局、ポリエステルって何なの?」にお答えします。
- 繊維と糸
- 投稿日:
- 2024-03-14
- (更新日:2024-03-08)
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こんにちは!
ここ最近、やっぱりサスティナブルという言葉から
・自然環境に優しい
・エコ
・資源への配慮
など調べる機会が増えている化学繊維。
ですので今回は合成繊維のなかでも「ポリエステル」についてできる限りわかりやすくご説明させていただきます。
■POLYESTERとは
まずPOLYESTERと調べると・・・
高分子化学物の総称で、代表例としては、「ポリエチレンテレフタレート繊維」(以下:ポリエステル繊維)と呼ばれる化学繊維が挙げられます・・・・
のようにカタカナが苦手な方はもうアウトーーーッ・・・になりそうな文章が最初にヒットしますよね。
もっと端的に言ってしまうと
ポリエステル=石油からできた繊維
基本的なことにはなってしまいますが個人的には一番しっくりくる表現です。
もう少し細かく説明させていただくと
石油→テレフタル酸
石油、天然ガス→エチレングリコール
という2つの原料を抽出してから
混合→加熱→水を減圧で飛ばす→重縮合
すると・・・ポリエステル繊維のもとになるチップ↓のできあがり!
他にも原料になるものの組み合わせによって
・ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethyleneterephtalate) 略号PTT
・ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephtalate) 略号PBT
・ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate) 略号PEN
・ポリブチレンナフタレート(polybutylene naphthalate) 略号PBN
などが存在します。
最もポピュラーなのはポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephtalate)略号PET飲料容器のペットボトルに使われていますね。
また、現在生産される衣料品も半分近くがこのPETです。
以上の呼び名の総称がポリエステルというわけです!
分かりやすかったでしょうか?
過去のWEBマガジンにも掲載してますので「まだわかりにくい!」という方はご覧ください。↓
■ポリエステル糸のつくり方
先で説明させていただいた「ポリエステルチップ」を
熱で溶かして専用の機械から押し出すことで糸にします。
イメージ的には”心太”に近い感覚でしょうか
そして注目すべきなのがこの押し出される金網の部分になる
ノズル(口金)です!
このノズルの穴の形状を変えることで、
糸に機能を加えることができます。
この構造を異形断面(〇〇型)などと表現します。
この異形断面構造によって糸の芯を空洞にして軽くし、空洞の部分に空気が入って保温性を高めたり・・・というのが防寒着やアウトドア用品でも見かける”サーモライト”だったりします。
断面の形状を変え、同じポリエステルでも様々な効果を持たせることができるなんて化学繊維の凄みを実感します。
また、断面のほかにも直接繊維に薬剤を練り込み
・抗菌
・防臭
・耐熱
・制電
などの効果も付加しているものもあります!
■ポリエステルの特徴について
・メリット
強度が高く、濡れても強さに変化はありません。
摩擦にも同様に強い耐性を持ちます。日常利用の範囲では、熱にも強い部類です。
しわになりにくく、しわの回復もはやい素材です。
日光に強く、耐候性にも優れます。形状がすぐに元通りになります。吸湿性、吸水性が低いため、乾きがはやい特徴を持ちます。
※熱可塑性があるため、折り目やプリーツのある衣服も、洗濯後にこれらがきちんと残ります。
薬品全般に強く、石油由来のため、虫害などもないです。
(※熱可塑性・・・ 常温では可塑性を示さないが、熱すると自由に変形できるようになり、冷却すると再び固くなる性質。)
・デメリット
汚れを吸い取る性質があるため、汚れのひどいものと一緒につけておくと逆汚染と呼ばれる現象が起きます。
吸湿、吸水、吸汗性能については、繊維自体にはそうした性質がありません。
衣類に加工した際には、繊維形状によってこれら水分を吸って乾燥させるという機能を持たせているため、速乾性能がうたわれています。他の繊維と組み合わせて衣服として使われることが多い理由のひとつです。
ポリエステル100%のTシャツもよく出回っていますが、綿や麻ほどの肌触りのよさはありません。繊維が特殊加工されたものは天然繊維と見まがうような肌触りのものも出てきています。
また火を使う現場や、火の粉が飛び交うような作業場での作業着やユニフォームには綿は適していますが、火の粉をうけるとポリエステルはすぐに溶けてしまうため、あまり適していません(耐熱や耐火性能のない化学繊維全般に言えることですが・・・)。
逆に薬品を使う現場には強い耐薬品性があるので向いています。
・弊社オススメ素材
ご存じの方も多いかもしれませんが、Proof PLUSシリーズです。こちらは糸の表面に撥水加工を施した糸です。
撥水加工によって、編地の表面を水が転がり落ちるように弾くことで濡れにくくなります。
また、別注で非フッ素系撥水剤の撥水加工も可能です。非フッ素系撥水剤は、天然由来の環境に優しい原料を使用しています。
https://www.maruyasu-fil.co.jp/departments/monteluce/yarn-collection/786
■ポリエステルのサスティナビリティについて
ここからが個人的な見解も含めて表現として難しい部分ですが、繊維のなかでも石油を原料としたものは精製時にCo2 が発生します。また、綿は生産するときに多くの水を使用しますので水汚染の問題が上がります。
ウールは羊のゲップにメタンガスが含まれるので地球温暖化の要因になります。
項目を挙げていくときりがないですね・・・しかし、ポリエステルだけで見ていくとリサイクルのペットボトルから糸や繊維をヴァージンポリエステルに比べて環境に配慮した状態で作り出せたり、他の繊維と一緒に作られている洋服からも原料を抽出できるようになったりなど日々、アップデートがなされています。
■まとめ
改めてポリエステルについてまとめてみましたが、過去のデータや情報との乖離が非常に大きいなと感じることが多かったです。
しかしながら、モノを大切にしたり、無駄なものを生み出さないように努力していくことは今後より強い動きとしてニュースや活動に現れてくるに違いありません。
環境に配慮されたデザインのものは通常のものに比べて価格が高くなる傾向が強いですが、いいものをしっかりと見極めていくことが大切ですね!
それでは!
写真はこちらからお借りしました↓
http://www.takagi-kagaku.co.jp/development/2015022013030500.html
http://www.jcfa.gr.jp/about_kasen/knowledge/process/index.html