ニット製品 ~ぽんぽん~
- ニット製品
- 投稿日:
- 2019-11-06
- (更新日:2020-06-27)
みなさんこんにちは。
ニットの組織柄は組み合わせ次第で無限にあります。
中でも「ぽんぽん」と私は呼んでいるのですが、丸い球体として形成される編み方のことをみなさんはなんと呼んでいらっしゃいますか?
ぽんぽんは手編み特有の技術のため、ぽんぽんがついている製品をみると手編みだ!と感心してお店で表も裏もまじまじと見てしまい、原産国や作り手の方へ思いをはせています。
先日行われた自社展示会向けに作ったサンプルで自動機で作成できるぽんぽんの製品を作成したのをきっかけに、ぽんぽんにはたくさん種類があることを掘り下げてみたいと思います。
ぽんぽんの種類
本で読んだり人から聞いたりして発見したぽんぽんの仕様をご紹介します。
①ぽんぽんを編む目に掛け目(表目+裏目+表目)をして目数を増やし(写真のは3目にしています)、3目の巾を3段編んだあとに3目一度をするように表目でまとめるやり方です。
模様として枝の先に付いている木の実の模様なので、3目3段の大きさになっており、これをもっと小さくしたり大きくしたりする場合は目数や段数を減らしたり増やしたり調整ができます。
②上記の①とは最初の目数を増やすところが違うだけで、ぽんぽんになる分量や大きさは3目3段で同じです。
ぽんぽんを編む目に①と同じく掛け目をしますが、表目+掛け目+表目になっていますね。
見え方は変わらないのでやりやすい方を選択して頂ければと思います。
③かぎ針を使用する方法です。
記事にはかぎ針の号数が6号で指示があります。また、ぽんぽん=玉編みと表記されていますね。
「ボッブル」という言い方で表現していた本も読んだことがあります。言い方も様々あることがわかりますね。
ぽんぽんの編む目になったとき、かぎ針に持ち替えてその目にかぎ針を入れ、くさり目を2目編み、長編みを3目編みます。かぎ針の編み図で表記が有る場合はぽんぽんを棒針では作らずにかぎ針で形成します。
ただ、長編み1目分は最後の完成形まで作らずに途中までで留めておき(最後のひと引きをせずにその手前でストップして次の長編みを形成する)、長編み3目出来たら一気に引き抜いてまとめるように作る編み方です。
その後、くさり編みを1目編み、ぽんぽんの終わりを締め、また棒針に持ち替えてぽんぽん作りは終了です。
④こちらもかぎ針を使用してぽんぽんを作ります。
今回は中長編みを4回行い、まとめる方法です。今回も③同様に1つ分の中長編みは最後のひと引きをせずに途中で留めて次の中長編みを作り始め、4つ出来たら最後に一気に引き抜いてまとめます。そして最後にくさり編みを1目作ってぽんぽんの終わりを締め、また棒針に持ち替えてぽんぽん作りは終了です。
写真の画質が悪くわかりづらいのが恐縮ですが、中長編みを4つ編むことで①~③よりも横に丸いぽんぽんが出来ます。ころころと丸くてかわいらしいぽんぽんを作りたい場合はこのような方法を選択して頂ければと思います。
※写真と編み図抜粋は下記からお借りしました。
①「スタイリスト佐藤かなのいちばん使えるニット」主婦と生活社
②「アラン&ガンジーニット」風工房 文化出版局
機械編みのぽんぽん
弊社展示会で打ち出していた機械で作成できるぽんぽんがこちらです。
手編みとは違い、細長い感じですね。
今までも自動機でぽんぽんを編むことは、引き返しの技術を用いて試みられてきました。
しかし、キスチョコのような形に仕上がってしまうことが多く、思った丸みが実現できないことが大半でした。
今回はこの技術が出来る機械背景をお持ちの工場さんで行うことで、このような丸みにあるぽんぽんが出来ました。
私は実際に編んでいるところは見たことがないのですが、工場さんに針の動きをインタビューしました。
1目に対して目数を3目程に増やし天竺表目を何段か引き返しの技術で編み、最後にまとめられるとうに移し目をして完成しているとのことでした。
段数や周りの柄の制限はあるようですが、ここまでの丸さを実現出来たことは素晴らしい技術です。
まとめ
今回様々なぽんぽんの仕様をご紹介しましたが、手編みでもかぎ針を用いて形作るものなどがあり、いく通りもの方法があることがわかりました。ここにご紹介した方法以外も、まだまだありそうですね。
製品を作成するにあたって、どのような位置付けの模様にしたいか、かわいく見せたいのか、大きくもしくは小さくしたいのか・・・表現したいゴールを決めて仕様を選択して頂きたいと思います。
私も、自分が手編みニットをつくるとき、ぽんぽんを模様に入れる際は大きさから決めています。
ぽんぽんにとって大きさは、製品全体の印象を左右する重要な要素だからです。
以前、作ったニットでは、木の実のモチーフと、ダイヤ柄の中央にぽんぽんをひとつ入れる模様に取り入れました。
木の実部分にも、ダイヤ柄の中央にも同じ大きさのかぎ針を使用したぽんぽんを取り入れました。
木の実は求心部分で顔周りだったので、少し大きさをを小さくして調整したほうが良かったかな?というのが作ってみての感想でした。
このような総柄は編むのにとても時間がかかりましたが、ぽんぽんの大きさも含めて良い経験になりました。
どのような印象のニットにしたいかを考えて、次回以降も挑みたいと思います。
それでは、また。