ニット用糸の初歩的な撚糸方法、種類を纏めました。
- 繊維と糸
- 投稿日:
- 2017-06-21
- (更新日:2020-06-27)
梅雨に入りましたが雨が少なく、暑い日が続いていますので、早くも夏カゼに掛ってしまった方もいるようです。皆様はいかがお過ごしですか。
雨が少ないと夏の水不足が心配され、多く降り続けると災害が心配になりますので適度に降ってくれれば良いのになあと思っています。
こんにちは丸安毛糸の田崎です。今回は新入社員様も研修を終えそろそろ現場へ移動している頃かと思い、簡単に撚糸に付いて説明をさせて頂きます。
目次
- 目次1 簡単な糸の流れ
- 目次2 撚糸に付いて
- まとめ
簡単な糸の流れ
糸の流れは原毛から糸になり、糸を撚糸加工をして染色、その後ニット工場で製品になり販売をされます。
これを川の流れの様に、川上から川下までの流れで表すと以下のようになります。
川上 原糸メーカー、製糸工場、原毛の輸入業者、紡績
川中 撚糸工場、染色工場、ニット製品工場
川下 卸売(アパレル)、小売業者
棉(原毛)→糸(紡績)→撚糸(ファンシーヤーンなどに加工)→染色→ニット生産工場(製品)→販売(卸売→小売)→消費者と流れて行きます。
撚糸に付いて
撚糸とは、糸に撚りを掛けること、撚りの掛った糸の事です。
撚るとは、ねじり合わせることです。
なぜ撚りを掛けるのでしょうか。それは糸を強くするためです。
元々は蚕から採れる生糸(絹)を一本では弱いので束にしていましたが、ばらばらになってしまい使いにくいので撚りを入れ、強くて使いやすい糸にしました。
撚糸はこのような簡単な目的のために行われたのですが、その後撚りを強くしたり弱くしたり、違う糸を撚りあわせたり、空回りをさせて飾り糸(ファンシーヤーン)が作れるようになりました。
撚りの種類は、右に撚る方法(S撚り)と左に撚る方法(Z撚り)がありますが、多くの場合は左撚りです。
撚り数の分類は、1メートル間の撚り数で決まり、甘撚、中撚、強撚、超強撚がありますが、糸の太さと撚り数で決まります。
撚糸法方による分類
1、片撚り(かたより)
1本または2本以上の糸を引き揃えて撚る方法
片寄りは通常の双糸撚り3っ子撚りです。
2、諸撚り(もろより)
片撚りを掛けた糸を2本以上引き揃え、さらに片撚りと反対に撚掛をかけます。
2/27は通常の撚りですが、1/3.4、1/2.7、1/1.4は諸撚りで軽く風合いが良くなります。
3、駒撚り(こまより)
片撚りで強撚にした糸を2本以上引き揃え、さらに片撚りの反対方向に撚ります。
2素材とも強撚糸を双糸加工していますので、清涼感がありさらっとした肌さわりになります。
4、カベ撚り(かべより)
片撚りをした糸と、撚りの掛っていない細い糸を引き揃え、片撚りと反対方向に撚ります。
レーヨン糸に細いナイロンを撚糸してカベ糸にしています。清涼感がありさらっとした肌さわりになります。
5、飾撚り(かざりより)=ファンシーヤーン
カベ撚りをした糸を何回か繰り返し、糸に形状を作ります。
太い糸の送りを多く入れ、細いナイロンで押えてループ形状を作っています。膨らみのある柔らかな風合いになります。
撚り方の見本として、弊社で取り扱っています素材を載せましたので、参考にしてください。
まとめ
簡単に撚糸に付いてご説明をいたしましたが、撚糸に付いても日々研究がされ進歩をしていますので、これからも変わった糸が出来ることだと思います。
ご紹介をしました素材も原料を変えることで違った風合いになります。
撚糸から出た言葉を2つご紹介します。
寄りを戻すは、撚りを戻して元の様にするということです。
腕に撚りを掛けて美味しい物を作るは、腕に撚りを掛け強くして良い物を作ることです。
今回も最後までお付き合いを頂きありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。