ニット素材の染工場のお仕事~かせ染め編~
- ニット製品や糸を生産する工場
- 投稿日:
- 2017-04-26
- (更新日:2020-06-30)
こんにちは、八木です。
4月に入り、時計のベルトと名刺入れを新調しました!
明るい色にしたくて、時計のベルトはライトベージュ・名刺入れはシルバーにしました!
さてさて、4月13・14日に山形の展示会に初参加させていただきました。いつも電話でのやり取りしかしていなかったお客様の顔を見て直接お話しできて嬉しかったです!まだまだ説明できる素材が少ないので、これからお客様に安心して担当を任せてもらえるように素材の知識を深めたいと思った2日間でした。
また、山形の出張で、かせ染め専門の染工場の見学をさせていただきました。ちなみに、糸染めはかせ染めとチーズ染めがあります。普段なかなか見ることのない貴重な体験をさせていただいたので、染工場(かせ染め)のお仕事について少しお話しさせていただこうと思います。
目次
- 染色
- 風合いだし
- まとめ
染色
ビーカー出し
私たちが商品を作る上で、色はとても大事です。
染色してほしい色があって、言葉で伝えたとしても、一度の染色では思ったとおりの色が上がらないこともあります。そこで、染工場さんにビーカー出し(サンプルで色を染色してもらう)をお願いします。
希望の色を染工場さんにお渡しすると、まずコンピューターで色の配分をデータ化し、自動的に染料を調合します。写真の機械の上には100本以上の染料が並んでいます。調合された染料が下の三角フラスコに溜まります。出来上がった染料の中に、糸や編地を入れて、高温のお湯の中にフラスコをつけて染色します。ちなみにウールは80℃、ナイロンは100℃が染色温度の目安らしいです。ただ、コンピューターの配合だけでは、近い色に上がらないこともあるので、人の手で微調整をしながら調合します。
みなさん最も難しい染色の色は何色かご存知ですか?
実は黒染めが一番難しいそうです。黒は、カラスの濡れ羽色が綺麗とされていますが、黒でも、赤みの黒や青みの黒があり、理想に近づけるのはもちろんロットの色合わせも、とても難しいそうです。
かせ染め
枠に糸をぐるぐる巻いて枠からはずして束になった状態の糸を綛(かせ)と言います。写真のように穴の開いた管にこの綛を掛けて、穴から染色液を噴射して染色します。綛糸の扱いに時間と手間がかかりますが、原糸の風合いを残しながら、ムラなく染めることができます。
風合いだし
ソーピング
ソーピングは洗剤を使用した水洗いで、他に柔軟ソーピングなどがあります。編地の風合いを整える為に、獣毛についた油や残留した染料・汚れを取り除き、洗浄したあとに柔軟剤リンスを加えしっとり、ヌメリ感をつける加工方法のことです。風合いを傷つけない為に、こちらでは主に泡でソーピングしているようです。
ミンク加工
ニットの仕上げ加工のひとつです。仕上げ加工は、湯通し・縮絨・ミンク加工などがあります。
仕上げ加工は編んだ生地を安定させたり、表面を変化させたりすることによって、見た目や風合いを良くして、素材としての価値を高めるために行われます。
ミンク加工とは、仕上げ剤を用いて、生地の表面を滑らかにふわふわに加工することです。風合いが良くなり、まるで毛皮のミンクのようになります。
ミンク加工をする機械の中には羽がついていて、この羽がミンク加工には重要だそうです。
まとめ
染色は、素材によって温度や染料が変わります。ただ液に浸けておけば染まるというものではありません。ビーカー染めでは、希望の色に仕上がるように微調整をし、染色中は糸の風合いが変わらないように傷つかないように、大事に仕上げます。また、染工場さんでは染色以外にも風合い出しの加工も行っています。
主に機械により色の調合や染色をしていますが、最後は人の手です。現場で働いている方たちの経験や勘に支えられて良い製品が生まれてます。
いま商品になっているものは、原料からいくつもの工程を経て、多くの人が関わって出来上がっていることを忘れずにいたいですね。