ニットならではの毛玉の原因、長く愛用するためにお手入れ方法

  • ニット製品の取り扱い方法

皆さんこんにちは。小嶋です。

さて今回は、少し前にも紹介をさせて頂きました、毛玉についてのまとめ記事を書きたいと思います^^
そもそも毛玉ってなに?なんて疑問や、毛玉ってなんでできるの?などなど、耳寄りな情報をお届けしたいと思います!

目次

  • 毛玉(ピリング)とは?
  • 毛玉(ピリング)の発生原因
  • 毛玉(ピリング)の対処法
  • 毛玉を抑える加工、抗ピル加工について
  • 抗ピル加工のメリット
  • 抗ピル加工のデメリット
  • ピリングをデザインにする!?!?ピリング加工について
  • まとめ

毛玉(ピリング)とは?

そもそも毛玉(ピリング)が一体何なのか、ご存知でしょうか?
ピリングとは、摩擦によって繊維どうしが絡み合う事で、毛羽どうしが束になり毛玉になってしまうことをいいます。
摩擦により毛玉ができてしまうので、摩擦の影響をうけやすい、脇、袖などに多く発生してしまう場合があります。そして、着用時の摩擦だけではなく、洗濯時の洗濯物どうしがこすれあうことでも毛玉が発生してしまうので、洗濯の際にも注意が必要です。

毛玉(ピリング)の発生原因

摩擦による繊維どうしの絡み合いが主な原因というのがわかりましたが、
なぜ繊維どうしが絡み合ってしまうのでしょうか?
ピリングが出来やすい繊維は下記になります。

・アクリル
・毛

まずはアクリルから説明致します。

・アクリル

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↑アクリルの顕微鏡でみた写真です(画像はこちらから拝借
アクリルは毛繊維に似せた繊維であるため、特性は毛と類似していて、軽く、暖かい特性があります。
ただ、繊維自体の強度が強く、絡み合ってしまうため、非常に毛玉になりやすいです。

次にご紹介する毛の場合では、「ピル脱落」という毛玉(ピル)が取れて落ちる現象があります。
毛の種類によってはピルが脱落し、目立たないものがあるのですが、上記でもあったように、アクリルは繊維自体が強く絡み合うため、残念ながらピルが脱落するケースは少ないです。
よく毛混(毛○%アクリル◯%)などの素材がありますが、◯%入っているアクリルが毛を抑えて脱落しにくくしてしまう事があるため、そういった素材もピルが脱落することはあまりありません。

 

・毛

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↑毛(アルパカと羊毛)を顕微鏡でみた写真です(画像はこちらから拝借

毛はふくらみ、弾力性に富み、保温性に優れています。
ただし、これは他の繊維にはないとても細かいクリンプ(鱗=スケール)、と呼ばれる鱗状の表皮をもっているための特性です。
この鱗は隣接する繊維との距離を広げ、隣接する繊維の内部に空間を作ることで、ふくらみや、弾力性、保温性を持たせる効果があります。
一見いいとこ尽くしのこの鱗ですが、こと毛玉にかんしては邪魔なものでしかありません。
実は毛がピリングしてしまう主な原因はこの鱗があるために、繊維どうしが絡み合ってしまうことにより、
毛の繊維もピリングができてしまうのです。。。。。。

ただ、アクリルの時に少しだけ説明しました、ピル脱落が起こる可能性がある種類が毛の中にもあります。
それが獣毛です。
獣毛は羊毛とは違い、鱗が少ないため、たとえ毛玉ができたとしても、その毛玉が取れて目立たない事があります。
アルパカなどのセーターが毛玉が目立たないのはそれが理由です。

毛玉(ピリング)の対処法

やっかいなピリングですが、少しの手間でお気に入りの洋服を綺麗に着続けることができます。
今回はその中でも比較的簡単なものをいくつか紹介します。

・連続着用を避ける
いくらお気に入りだからと言って何度も連続的に着用すると毛玉だらけのニットになってしまいます。
上記でもお話ししたように摩擦が毛玉の原因ですので、連続での着用はせず、1度着たら間を空けて使うようにしましょう。

 

・洗濯機で洗う時は小さめのネットに入れて裏返して洗う
とにかく摩擦はNGです。
摩擦を抑えるためにも小さめのネットでなおかつ裏返しにして、手洗いモードで柔軟剤を入れてください。

 

・手でむしらない
つい手でむしりがちですが、むしった所で更に毛羽たってしまうため、そこからまた毛玉できます。
こばさみを使っていただいて丁寧にカットされるか、ブラッシングをして毛並みを整えてください。

上記3点、少し手間かもしれませんが、お気に入りの服を長持ちされるためのテクニックですので、
ぜひ試してみてください。

ちなみに私は家でも会社でも、泉精器製作所さんの毛玉とるとるという毛玉取り機を愛用しています。
ハイゲージのニットでもよく取れてくれてニットを長く愛用するにはもってこいです。

毛玉を抑える加工、抗ピル加工について

薬品につけることにより、 ピリングが発生してしまう原因の摩擦をしにくくさせ、また、繊維自体の強度を弱くすることで、繊維どうしが、絡まって毛玉になる原因を防ぐ加工を言います。
ただ、抗ピル加工をしたからと言って、まったく毛玉ができなくなるわけではなく、毛玉ができにくくなる加工方法になります。

また、素材本来の風合いも少し変わってしまうことが多く、作りたい製品に合わせてその都度加工が必要かを選んで頂ければと思います。

抗ピル加工のメリット

・メリット
メリットはやはり、毛玉が発生しにくくなる事です。
発生しにくくなるため、通常であれば、「お手入れに気を使わないといけない」「着用を連続できない」などなど、こういった不安要素を改善することができるため、非常に着用、お手入れがしやすくなり、綺麗にお気に入りのニットをなが〜く愛用できます。

抗ピル加工のデメリット

・デメリット
デメリットは、風合いが少し悪くなります。
やはり、薬品に一度通してしまうので、どうしても元の風合いよりも少し硬く、ごわごわした感じになる場合があります。

ピリングをデザインにする!?!?ピリング加工について

実は、ピリング加工には2種類あります。

①長時間洗い(ボールウォッシュ)

ピリングが出るまで洗う加工法。

デメリットはピリングにならず、毛羽しか出ない時がある。

↓春夏素材に多い、綿、麻素材などはピリングが発生しにくいようです。少し毛羽だったかな?くらいです。

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また、洗いでの加工なので、秋冬素材のウールなどが入っているニット製品の場合は縮んでしまいます。

↓ここまで縮むものなんだと驚くくらいにガチガチに縮みました、、、笑

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②ピリング加工

ドラムに入れて、中のヤスリで削る方法。

↓起毛加工で毛羽を出したものをピリング加工。

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↓ケーブル模様とピリング。なんとなくヴィンテージ感のある風合いに仕上がりました。

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ピリング加工のデメリットはヤスリで削る為、糸などが切れる場合があるということ。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ニット製品つくりや、お気に入りのニットの愛用の仕方までご紹介致しました。
ピリングについてわからない事がありましたら、是非また見に来てください!!

それでは、また。