ニット糸の撚糸に付いて知って頂きたいおはなし
- 繊維と糸
- 投稿日:
- 2016-04-01
- (更新日:2020-06-27)
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前回、アップをいたしました河津桜の写真も千葉県柏市に有る手賀沼公園で撮影をしたものですが、今回の写真も同じ手賀沼公園で撮影をしました。
ここ手賀沼には住み着いてしまった野生の白鳥が数多く生息をしており、毎年 かわいいヒナも生まれています。
こんにちは丸安毛糸の田崎です。今回もよろしくお願いいたします。
今回は撚糸(撚り)、撚りの方向、撚り数の種類に付いて書いていきます。
- 目次1 撚糸(撚り)
- 目次2 撚りの方向
- 目次3 撚りの数による分類
- まとめ
撚糸(撚り)スパン糸とフィラメント糸
スパン糸(短繊維)
綿、ウール、麻、化学繊維のスパン糸などは、繊維を平行にして引き揃えながら細くし撚りを掛けて糸にしていきます。
撚りを掛けることにより、繊維同士が絡み合い強い糸になります。(撚りが弱すぎると巣抜けてしまいます。)
フィラメント糸(長繊維)
シルクや化学繊維のフィラメント糸(ポリエステル、レーヨン)などは、何本かを束ねて糸にしますが、束ねるだけだと繊維がばらけてしまうので撚りを掛けます。撚りを掛けることで、糸が強くなり、光沢、伸度、弾力性が増します。
撚りの方向(右撚りと左撚り)
右寄り(S撚り)
糸をたてにして時計回りで撚りを掛けて行きます。この糸の側面を見ると左上から右下に撚られた形になり、Sの字型に見えるのでS撚りと言います。
左撚り(Z撚り)
S撚りとは反対方向に撚りを掛けて行きます。糸の側面がZの字型に見えるのでZ撚りと言います。
通常の紡績をする場合は、Z撚りに撚りを掛けます。S撚りは逆撚りになります。
フィラメント糸は普通はS撚りに撚りを掛けますが、時にZ撚りにする事もあります。
撚りが掛っている方向で分かれます。
撚り数による分類
撚り数の単位はT/mで表し、糸1メートル間に何回撚りを入れたかで分けます。綿の場合は1インチ間で表すことがあります。
甘撚 500T/m以下
中撚 500~1000T/m
強撚 1000~2500T/m
超強撚 2500T/m以上
糸の太さによって、太い糸は繊維の本数が多いので撚り数が少なくても絡み合い抜けにくくなりますが、細い糸は繊維の本数が少ないので撚り数を多くして、糸に強度を持たせます。素材によっても異なりますので注意してください。
2/34綿100%
2/52綿100%
同じ綿100%ですが、上段の方が撚りが甘く、下段の方が撚りが強くなっています。
まとめ
風合いの良い糸を作る場合は、撚り数を抜けない程度に調整をして甘く撚り、強い糸や、清涼感を持たせた糸を作る時には撚り数を多くします。
今回、書かせていただきましたのは一般的なことで原料により、撚り回数の基準もありますのでご注意してください。
糸の特徴を知って頂き、ご使用のお役にたてれば幸いです。
最後に(語源)
腕によりをかける。
腕が撚れるほど手間ひま掛けて作る料理。よりを掛け鍛え上げた腕まえ。
よりを戻す。
ねじれてしまった関係をもとのきれいな状態に戻すこと。(人間関係は撚りが掛っても強くならず、ねじれるだけのようです。)
今回も最後までお付き合いを頂きありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。