少しだけ知っておくべき!獣毛混用率試験について
- 繊維と糸
- 投稿日:
- 2016-03-14
- (更新日:2020-06-27)
こんにちは、佐野です!
先日ブライアンセッツァーのライブに行ってきました!!!!
大好きなブライン。マジでかっこよかったです。
今回はオーケストラでなくロカビリー構成だったので、ギターをかき鳴らすブライアンは最高でした!
リーゼントのおじさんとか、女性もバンダナ巻いてワンピース着て、かわいい人ばっかり。
こういうみんなが同じカテゴリーで楽しむこともライブの魅力ですね!
ちなみに僕は自作でベストに加工しました。ベストは松井のおさがりです。
さて!今回はそんなブライアンセッツァーの金髪リーゼントを見て思った、、、というわけではないのですが、、(笑
“獣毛混用率”について、まとめてみます。
目次
・混用率試験とは
・獣毛混用率試験の検査方法
・投入混率と試験結果が違ってしまった!という経験
・まとめ
獣毛混用率試験とは
衣服に限らず、繊維製品を扱う業界に身をおていると混用率試験、染色堅牢度や物性試験、寸法変化率など、
品質を保証するために行われるこれらの試験は必ず必要になりますよね。
アパレル企業さんや、百貨店さんなどは独自の基準を設けていることもしばしばあることと思います。
今回は数ある試験内容のうち、混用率試験、その中でも“獣毛混用率試験”について、まとめてみたいと思います。
獣毛混用率とは、その名の通り対象となる繊維製品にカシミヤ、モヘア、アルパカ、ウールなどの動物の毛がどんな割合で構成されているかを鑑別する試験です。
カシミヤなどの高級原料ともなれば、品質の保証・証明として百貨店などではこの試験結果表が必要になるケースが多く、かつ製品の品質表示を作成する際の参考資料にもなります。
この試験はカケンテストセンター、メンケン品質検査協会、ケケン試験認証センター、ボーケン品質評価機構、日本繊維検査協会など、JISが定める基準に基づいて試験を行う所謂公的機関と呼ばれる各機関で試験が行われます。
獣毛混用率試験の検査方法
では、実際に獣毛混用率試験はどのようにして行われているのでしょうか。
私も聞いてびっくりしましたが、、、その試験方法とは、“目視”で行われます。
まず、試験対象となる生地や糸をほぐしていき、1000本の繊維を取り出すそうです。
それらを熟練の検査士の方々が1本1本電子顕微鏡で鑑別していき、どの獣毛が何%という結果を出します。
正直かなり原始的な方法だと思いますが、、、すごい試験方法ですよね。
鑑別ポイントはもちろんたくさんあるようですが、わかりやすかった点は、
・スケール(髪の毛で言うキューティクル)の特徴
・光沢
この二つなんだそうです。
例えば羊の毛ならスケールが人の髪の毛のように細かく、光沢も少ない。
これに対しカシミヤはスケールの数が少なく、そのピッチも長い、そして光沢が強い。
反対にアルパカはほとんどスケールが存在しない。。。など。その動物ごとの特徴を捉え、判定するようです。
投入混率と試験結果が違ってしまった!という経験
丸安毛糸の糸も獣毛混の素材が多数存在しますので、混率試験をとることは多々あります。
そんな中で、、、不思議というか、試験結果に混乱してしまうようなことも、実はあったりします。
どんかことかと言いますと、
カシミヤ100%の糸なのにウールが少し入ってるという試験結果が出てしまった!という何とも残念な、一瞬どうしたら良いのかわからなくなってしまうような試験結果が出てしまったことです。
しかし、実はこういうことって結構あるみたいです。
紡績メーカーはもちろんカシミヤ100%の糸を紡績する際、わざとウールの糸を混入させたりはしません。
ですが、紡績をする機械はカシミヤ100%だけを紡績しているわけではないケースがほとんどなので、ウールの繊維が混ざってしまうことがあったり、
編立工場においても、カシミヤ専用の編機を使用できるわけではないので、同様に他の繊維が混ざってしまう。といった不可抗力的なことが考えられるようです。
とは言うものの、、、生産工程上素材ごとに専用の紡績機・編機を用意することはほぼ不可能なので、許容範囲が認められています。
一つの獣毛100%で設計されている素材の場合、他の繊維が混ざっても3%未満なら100%と表記してOK
例えば、カシミヤ100%の糸で混率試験を行った結果、カシミヤ97%羊毛3%と出てしまっても誤差の範囲と認められ、カシミヤ100%と表示ができる、ということです。
※現在も公的には5%が許容誤差とされているようですが、なかなか厳しくなっており3%までを誤差範囲とされるケースが多いようです
※アパレル企業さんによっては独自の基準があるところもございます
仮にそれ以上の%で違う繊維としての結果が出てしまったら、迷わず試験機関に連絡をして再試験されることをおすすめします。
現実問題、一つの生地に対してどの部分で試験をするかによっても数%の誤差が出ることもあるようなので、是非ともすぐに相談してみてください。
まとめ
以上、獣毛混用率試験について、簡単にまとめてみました。
もっとハイテクなのかと思いきや、人の目で試験しているという事実は驚きました。
言われてみれば生き物の毛ですし、人が紡績し、人が編み立てるわけですから、多少の誤差はやっぱり出てくるものですよね。
だからこその許容範囲が認められているみたいです。
その反面、防縮ウールや羊の種類など、原料も細分化が進んでいますので、試験機関の方々もそのサンプル集めには必死なようです。
モノづくりと品質保証の難しいバランスもあると思いますが、ちゃんと知って理解をして、楽しくモノづくりができたらなと思います。
今回は以上です!
綿や化学繊維などの試験方法が気になる方は、公的機関のホームページか佐野までお問い合わせください!
それではまた次回^^