合成繊維(アクリルの性能を知って使いこなそう)
- 繊維と糸
- 投稿日:
- 2016-02-25
- (更新日:2020-06-27)
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上の写真は葛飾区水元公園で2/14日撮影をしたものです。御覧のように菜の花が満開です。すぐそこまで春が来ているのを感じますが、日本列島は南北に長いので、その前週の水曜日に山形県米沢市に行ったのですが、そこはなんと大雪でした。一週間の内での体験としては年のせいか、辛いものがありました。
こんにちは丸安毛糸の田崎です。今回もよろしくお願いいたします。
今回はアクリルにつての特徴、欠点などを書いていきます。
目次
アクリルについて
特徴
欠点
まとめ
アクリルについて
アクリルは3大合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル)の1つで、中でも一番親しみのある繊維です。原材料は石油を化学的に合成して作られます。 合成繊維の中では最も羊毛に近く、ふっくらと柔らかく、暖かみがあり、肌触りの良い繊維です。この「ふっくら」は、かさ高性、またはバルキー性と呼んでいます。 熱を加えると繊維がウエーブをしてちじみ、ふっくらした原料もあります。カシミヤのように柔らかい物から、モヘアのように少しハリのある物まで自由に作れます。
特徴
1、羊毛のように保温性があり、軽くかさ高があります。
2、羊毛と同じく弾力性があり、回復力も良く、しわになりにくい。
3、染めやすく発色性があり、染色堅牢度にも優れています。
4、太陽光に当たっても、ほとんど影響をうけません。
5、カビや虫食いの心配もありません。
6、強度があり、摩擦にも強い。
バルキーアクリルを混紡することでふっくらしたかさ高のある糸になり、軽さも出ます。
欠点
1、耐熱性にやや劣り、高温の物に直接ふれると繊維が溶けやすい。
2、毛玉が出来やすく、取れにくい。
コーピルアクリルを混紡することでピリング性が良くなります。
まとめ
アクリル繊維を嫌う人も多く、私の父もその一人でした。父の若い時代のアクリルは、着て出掛けたときには良かったようなのですが、雨に降られ帰ってきたときには縮がひどく、しわだらけになってしまったそうです。その様なイメージを持たれている方が、まだ居られるようです。
現在のアクリルはそのようなことはなく、他の天然素材と混紡をすることで、天然繊維の欠点を補うことも出来ます。
ただ一つ残念なことがあります。それは数年前に生産が中止となってしまったアクリルの長繊維(フィラメント)の事です。この繊維は西洋の合繊メーカーでは作ることができず、日本の技術を象徴したもので、世界でも旭化成と三菱レイヨンの2社だけが作れたのです。
生産が中止になってしまった要因としては、大量生産をしていましたアクリル短繊維(スパン)の生産量が減ってしまい、付随をしていた長繊維(フィラメント)も一緒に生産が中止になってしまいました。
1社になってしまい供給が間に合うのかと心配をしましたが、2社の時には切磋琢磨をして新素材の開発もありましたが、1社になってしまうと新素材の開発や提案もなくなり、お客様も離れて行くようになり最終的には生産中止になってしまいました。
アクリル長繊維(フィラメント)シルクのような光沢があり、強度に優れています。
繊維には必ず良い点と欠点がありますが、それを理解して使用をして頂ければ幸いです。
次回もよろしくお願いいたします。