ニットに欠かせない付属を、わかりやすく説明している付属屋さんのHand Book
- ニット製品
- 投稿日:
- 2016-02-16
- (更新日:2020-06-27)
皆さん、こんにちは丸安毛糸の中谷です。
寒い日が続いていますが、自宅近くの花屋さんをみると、春を感じる花が多くみられるようになってきました。
もうすぐ春が訪れると思うと、気持ちも明るくなってくる気がします。
さて、本日のブログは、弊社に来社された附属屋(Oさん)が、お持ち頂いていたHand BOOKについてです。
上の写真が、そのHand Bookになります。
ニット作りに欠かせない付属ですが、その使い方に関することを丁寧に説明されており、皆様にも是非お伝えしたいと思い、書かせて頂きました。
その1 ボタン選び編
ボタンの素材は大きく天然繊維と非天然繊維に区分けができます。
基本的に天然繊維の方が高価で、天然繊維のイミテーションのプラスチックボタンは安価になります。
天然素材の代表格は、水牛の角を原料にした水牛ボタンや、タグワ椰子の実の種を原料にしたナットボタン,貝ボタンです。
水牛ボタンは、水牛の種類により黒っぽいものから透明感のあるベージュっぽいものまであり、この色により値段が違ってきます。
色により値段が違うのは珍しいことで、濃くなるほど安価になり、薄く透明感のある方が高くなります。
また、ナットボタンはもともとアイボリー色のため、染色で色を付けることになり
色は後から付けるので、生地の色に合せて染色することもできます。
その他、天然繊維のボタンとして、革ボタンや木ボタンなどもあります。
プラスチックボタンは、天然繊維よりリーズナブルで、ポリエステル樹脂やユリア樹脂を使うことで、本物にかなり近い物も多いです。
その他のプラスチックボタンというと、牛乳が原料のカゼインボタン。更にリーズナブルなナイロンボタンや、ガラスのような透明感のアクリルボタン等があります。
また、取扱の注意例として、染色ボタンの色移りに関することも載っています。
後から染めたボタンは色移りするものと考えて、薄い色の生地に、生地よりも濃い色に染めたボタンを付けるのは危険であり、そのような仕様の場合は、初めから色のついたボタンを使用することを勧めています。
その2 ファスナー選び編
ファスナー選びには、機能的に選ぶ部分とデザイン的に選ぶ部分とに分かれます。
①ファスナーのエンド部分がオープンエンドなのか、クローズエンドなのか、これは使う箇所により変わってきますが、ブルゾンのフロントならオープンエンドで、ポケットやボトムのフロントエンドに使うならクローズエンドになります。
②ファスナーのエレメント(務歯)という歯の部分の素材とサイズを選ぶ際は、機能面とデザイン的要素、どちらも加味します。
素材は、金属(メタル)、プラスチックのビスロンやコイルがあります。
エレメント(務歯)のサイズは数字が小さいほど、一つひとつのエレメントが小さく、一般的にNo3〜No10まで、5〜6種類あります。
③ファスナーのテープカラーは、ファスナーカラーカードで選び、テープカラーを身生地の色に合わせるかどうかデザイン性で選びます。
④スライダーはスライダーカタログから選びます。基本的にデザイン性で選びますが、注意したいのがロック機能というもので、スライダーには、ロック機能があるものとないものがあります。
ロック機能があるものは、スライダーの引き手を部分を引っ張ることでロックが解除され、スライダーが動き
一方、ノンロックのスライダーは引き手を引かなくてもファスナーが開きます。
(パンツのフロント等は、ロック機能が付いたファスナーを使う必要があります。)
YKKの場合、スライダーの型番の2桁目がロック機能を表していて、2桁目がA、N、Sはロック機能があります。
Fはロック機能がないので、オープン使いやフロント使いには不向きです。
⑤ファスナーは基本的に受注生産で、発注時期、数量にもよりますが、サンプルで2週間、量産で1ヶ月ほどかかると考えておくのがよいです。
私自身、スライダーのロック機能がYKKの場合、型番の2行目で表しているということを、このHand Bookで知ることになりました。
まとめ
Hand Bookにはボタン選び、ファスナー選び以外にも、裏地や芯地選びについてもわかりやすく書かれています。(取扱の注意例も合せて書かれています)
このHand Bookを作られたのは、株式会社クロップオザキの尾崎博之社長ですが、作るきっかけとなった内容に私は共感しました。
それは、付属を扱う会社に求めるモノは何か?と、あるアパレルメーカーの社長に聞いた時。
「一番必要なのは情報についてだけど、例えば料理をする場合、素材を引きたてる素材同士の組み合わせってあるよね。逆にこの組み合わせは台無しとかね。洋服も一緒で、生地やデザインに合った付属の選び方や、使い方ってあるよね。ベテランのデザイナーや、企画なら常識的に知っていても、新人や、経験の浅い担当者だとそれを知らずに使ってしまい、やり直しや、時にはお客様からのクレームになり、大変なことになってしまう。その辺りの事を、付属に関する新人教育なんかをしてもらえたら本当に助かるんだよね〜」
それを聞いた尾崎社長は、私たちは付属のプロとして、お客様の役に立とうと努力してきたつもりだけど、一番大切な情報をお客様に伝えてこなかったのではないか?と思ったそうです。
今回、お話をさせて頂いたHand BooK。
こういった思いから作られた事を、1人でも多くの方に読んで頂けたら、嬉しいです。
皆様、ご連絡頂ければお送りいたします〜。
尾崎社長、Hand Book本当にありがとうございました。
それでは、次回また。