ニット製品の作り方・種類 ホールガーメントについて⑤ ニットのシステム/企画サポートいたします
- ニット製品や糸を生産する工場
- 投稿日:
- 2015-12-10
- (更新日:2020-06-27)
ども!こんにちは。飯島です。
このブログシリーズを書きはじめ、少しずつですが反応をいただけて嬉しい次第です。
製品を企画するにあたって、ホールガーメントについて質問があったりと、なかなか手応えがあり、解りやすく伝えるのは難しい半面、とても面白く、ついつい仕事を置いて長く話こんでしまいます。
新卒の頃を振り返ると
自分は学校で布帛しか勉強してなかったので、ホールガーメントはもちろん、ニットについても最初はさっぱり解らず、上司や先輩をつかまえては質問していたのを思い出しました。企画所属のパタンナーだったので、実際に編んでいるわけではなく、話を聞いて覚えていきました。(笑)
横編ニットはニット、タック、ミスの編み方と、寄せと移しで殆どと言っても過言ではないので、どう組み合わせるかで組織や形を作っていきます。
もともと形出しが好きだったこともあって、色々な形やシルエットをどうやったらホールガーメントで編めるのか?と、常々考えていました。
どっちから編む??っという具合で、編み立てのベテラン先生方に質問やパターンで挑戦をしながら(笑)
そのなかで新しい形を色々と試せたのはすごく良い経験となりました。
・・・さて、ひとり語りが多くなってしまったので、ここらで本題に入ります。
ニットのシステムって?
丸安毛糸にも、島精機のSDS-ONEがありましたが寿命をむかえてしまい、新しいSDS-ONE-APEX3へ入れ替えることとなりました。
そこで、、導入後講習ということで島精機の東京支店で講習を受けてきました。
講習については召田がレポートしてくれています>>>ニット業界では知らない人はいない!(株)島精機製作所様へ研修に行ってきました
せっかくですので、今回はホールガーメントにももちろん関係してくる、機械を動かすためのシステムと、それらソフトを利用したニット企画のサポートについてお話をしていきます。
どうやって機械に指示を出しているのか?
さてさて、昔の機械ではパンチカードでのON/OFF、文字コードでのプログラム入力など針の上げ下げなど選針する制御指示を行っていました。
(ジャカードなど、絵柄を出すときなどは細かく一目ごとにパンチカードの穴を開けるなど、非常に大変で量も膨大になりました。)
■パンチカード
(こちらから画像をお借りしました。http://www.hathor.jp/blog_kita_001.html)
・・・そこから、コンピュータ、CADソフトが開発され、年々処理能力も向上していきます。
当時から横編機、ニット用のソフトとならんでCGシステムも開発していた島精機はコンピュータ上で選針の制御やプログラムを視覚的に表すことができないかと考えた訳です。
ニット用のCADで、ニットCAD(ニッキャド)などと読んだりします。
(ニット科だった方は授業で習ったかと思いますが思い出してくださいね。)
柄データ作成の方法
■CAD画像
では、どうやって編み方を表現しているかというと。。
上の画像のようにグリッド配置したマス目をニットの1目とし(1ドット/1目)、そのマスへ制御番号を入力します。制御番号というのは、針がどのように上げ下げするか、1目、2目と目移しする、隣り合う目同士を交差させるのかなど・・・編み図の記号と似たようなものです。
この番号ごとに内部的に機械を制御するプログラムが割り付けられています。
これを数字や記号だけでなく、色を付けて視覚的にもカラフルに見分けやすいようにしたものを色番号と読んでいます。(画像下のカラーパレット)
例えば
色番号1赤/表ニット
色番号2黄緑/裏ニット
色番号3黄/ゴム編み
・
・
など、柄組織を編むときなどには、パッと見ても何をやっているのかが分かるようになっています。
ドットを色で塗り潰していくので、お絵描きをしているようですが、、ソフトの裏側では一つ一つ制御プログラムが作られているわけです。
よく言う柄組みと言われているものが、この操作を行うことを言います。
さて、ニットのデータがどのように作成されているのかをご説明しました。
ここからは、デザイナーさんや企画向けのお話をしたいとおもいます。
ニットの企画って難しくないですか?
こちら↓の画像は、ニットCADのCGソフトを使ってシミュレーションしたものです。
■画像シミュレーション
これ、編地の写真じゃないんですよ!(笑)
編組織や素材感も本物の編地みたいじゃないですか?
こちらのシミュレーションは、企画段階に非常に便利な機能で、デザイナーさんの細かなニュアンスも、編地スワッチを編む前に確認することができるのです。
ある程度こんなイメージで!ってイラストや写真で依頼してしまうことがあるかと思います。。
弊社にご依頼いただければ、企画の段階で細かく素材や柄のデザインを詰めることができますので、いただいたイメージや資料から複数バリエーションの提案も行えます。
ピックアップしていただき、編み方の説明、そのまま編立てを行いますから、決定した柄でスワッチを作成、編地の確認を行い、スムーズに製品へと生産を行えます。
また、こちら↓の画像はジャカード柄の配色パターンを作成したもの。
■ジャカード柄
作りたいイメージは頭の中にあるのに周囲に伝えるための表現が難しい。。また、実際に編地を作ってみたはいいけど配色がイメージと違った。サンプル糸が無駄になってしまった。など経験ありませんか?
こんな時もイメージをいただければシミュレーションを作成して提案できますので、“すこし図案のテイストを変更したい”、“考えていた色以上に素敵な配色が見つかった”など皆様の企画のサポートもいたします。
良いニットを作りたいと言う気持ちはみんな一緒です。
お客様それぞれにあった使い方や方法を駆使して、新規柄のデザインや企画にもお役にたてるよう説明・理解が出来るよう、さらに工夫できたら良いなと思います!
まとめ・終わりに
今回は、ホールガーメントからちょっと離れましたが、、ニットのシステムがどのようなものかご紹介しました。
横編みの機械は少なからず、ニットデータを作成して行われています。
企画検討や修正で柄とか、データなんて聞いたことあると思います。
ややこしい内容だなと思ったかもしれませんが(笑)雰囲気は伝わりましたでしょうか。
ニットの企画の難しいところ。編地を自由に作れるけど決めきれなかったり、ほんとに微妙なニュアンスや、人に伝えることが難しく、編地が出来あがるまで緊張や心配をしませんか?
もちろん風合いなどは編んでみないとわからない部分ですが、企画段階で内容を詰められるところまで詰められれば、安心して企画を進めることができるのではないでしょうか。
お困りの方は説明やお手伝いをいたしますので、是非とも気軽にお問い合わせくださいね!
それではまた次回に!
過去のシリーズを読みたい方はこちらをどうぞ↓↓↓
ニット製品の作り方・種類 ホールガーメントについて① ホールガーメントとは?
ニット製品の作り方・種類 ホールガーメントについて② そもそも横編みとは?
ニット製品の作り方・種類 ホールガーメントについて③ 手袋からセーターへ